豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 タイガー&ホース

猛暑から一転して雨雨雨ばかりの今週、私はちょい寝坊しいつもより1本遅い電車に飛び乗った。
朝ラッシュでほぼ満員車内、私はふと目線を動かし、心底驚いた。
決して会いたくない顔がすぐそこにあるじゃないのさ。
なにぶん人込みのなかだったので、鼻から上しか見えなかったが、あの目鼻は間違いない。思い返せば自宅がこの沿線だと聞いたことがあるから、会っても不思議ではないが、私が根拠もなく会うこともないだろうとたかをくくっていた節がある。何年ぶりの再会になるのか、もう思い出せないほど私の中では記憶が薄れているが、あちらはそうではないかもしれない。私は慌てて体ごと顔を背けた。次の停車駅まで気付かれませんようにと、つり革を握り、鼓動も少し早くなったかもしれない。そして駅のホームについた途端、私は脱兎の勢いで逃げ出したのだった。

なぜ私が逃げなきゃならんのだ???とぐるぐるしつつ。
ヘタレめ。

別にイジワルをされたわけではない。表立ってケンカしたこともない。ただ、私が一方的に苦手意識を持っているに過ぎない。おそらく、当の本人は私にそこまで嫌がられているとは気付いていない。

なにしろその人に捕まると最後、延々と自分の愚痴話が始まるのだ。おざなりな私の慰めなど毛頭聞く耳もたない。自分が相手より不幸であることに優越感でも持っている???と、一時は感じたものだ。追従と侮蔑と自慢を織り交ぜつつ「可哀想で特別な私」語りが巧妙に続く。今ならわかる。あれがたぶん「誘いうけ」。相手を選べはいいものを、よりによってあなたは私にするのか!
若かりし頃の私はそんな不毛な会話にガマンできず、しまいには遠くに姿を見かけるだけで気分が落ち込んだ。私はじりじりとその人の属するグループから離れてゆき、ささやかながら好意を寄せてくれていた人たちごと切り捨てた。今はまったくの音信不通。
そのことに後悔はしていないが、内情を全く知らない人から、○○さんは今どうしてるの?仲良かったでしょ?などと無邪気に質問されると微妙に困ることがある。まぁ、察してくださいよそのへんは。

人間は快と不快が同居しているシーンに遭遇すると、不快を避ける行動を取ってしまうものなんだそうだ。
つまり、どんな快楽よりも、不快でない状態を選ぶってこと。


あ〜だから、早起きして2〜3本早い電車に乗るのなんか不快じゃなくってよ。