豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2009年1月号プリンセス連載分雑感


月刊 プリンセス 2009年 01月号 [雑誌]【今月のネタバレあらすじ】
イズミル王子の容態が急変し再び昏睡状態に陥る。未来の夫の看護に奮い立つ婚約者タミュリス姫は、王子の病室からヒッタイト人侍女を追い払うが、乳母ムーラから知らせを受けたヒッタイト王妃が駆けつけた。息子の容態を案じ、事を荒立てまいとしてきた王妃であったが、看護を自ら仕切りたがったタミュリス姫がムーラまで排除しようとするに至り、断固としてこれを阻止。王妃の強硬な態度に直面したタミュリス姫は、屈辱に震える。
 王妃はその足で夫のもとに直訴に向かい、タワナンナシュたる自分に相談なくトラキアとの婚姻による同盟を決めたのはなぜかと、王の真意を問いただす。だが、タミュリス姫を大いに買う王は、あくまで婚姻による同盟を推し進めようとして、息子を案じる王妃の真剣な問いかけすら馬耳東風なのだった。
 ヒッタイト王子のもとにトラキアの王女が嫁入りしたという噂は、ミケーネ、ミノアへとエーゲ海諸国に緊張の波紋を広げてゆく。
一方、エジプトでは、シバ王国からもたらされてきた香の入荷が止まっている事態を重く見たカプター大神官が、とうとうメンフィス王に直談判に及ぶ。宰相と大神官がメンフィス王に変事を報告しているまさにその最中、シバ王国の女王からの使者が到着したとの知らせが飛び込んでくる。使者がエジプト王へ捧げた女王の親書には、香と引き換えの招待を仄めかす内容が記されており、メンフィスは驚く。古代史に名高い「シバの女王」からの招待状ときいて、黙っていられなくなったキャロルは、興奮のあまり思わずその場へ駆け込んでくるのだが・・・・

以下、2月号へ続く。


【今月のお言葉】 
よいか!しっかり見定めてまいれ
ナイルの姫という魔性の女に…
惑わされているというおろかな王とは どのような若者か!
*1 


【定点観測記】

1.イラスト集発売情報 今月もナシ(脱)

2.雑感 
 今まで散々女のようだの青二才だの若造だのいわれ今回ついに「おろかな」なる形容詞を捧げられてしまったメンフィス王。対して、婚約者に圧し掛かられ気味とはいえ昏々と寝ていただけなのにすでに噂では既婚者扱いのイズミル王子。
そんな彼らに黄色い歓声を飛ばさねばならぬのが王家クオリティ。
今月号を読んで、よくわからなかった点がひとつ。シバの女王が香で釣ろうとしているのはメンフィスなのか、それともキャロルなんだろうか。女王は前回よりインダスの太子の仇を討つとか息巻いていたので、てっきりナイルの姫なる魔性の女をおびきよせて血祭りにあげたいのだとばかり思っていたのだが、親書を一読したメンフィスが(いちおう驚いてはいたが)、意外に平静に見えたので、招待されたのはメンフィスなのかしらん。
どうですかファラオ、最近あなたのつるんとした寸胴な胸元が気になる私のために、ここはひとつカプターの直訴を聞き入れて香を仕入れに紅海渡って体鍛えてみませんか。王妃は王宮の柱にふんじばってでもお留守番させ、猛勉強とやらの成果をみてみるがいい。シバ王国の使者が来たと聞いて仰天している王妃をみて、近隣のどこにどんな国があるのか猛勉強してたんとちがうんですか〜と不安を覚えたのも事実であるが。
そんな好奇心猛進な姫さまをカワイイと褒め称える。それが王家クオリティ。
そして子を思う母の心を汲めないどこぞの我儘姫が貶められる。それも王家クオリティ。
ナナメ読者の私は「おしゃべりタイム」も長らく愛読しているのだが、今月のテーマはやはり母の愛の素晴らしさなんだろうなぁ。何しろ作者コメントで、子供をあたたかかく見守るお母様の存在の大切さを感じますねとか加筆されては勘ぐるなというほうが無理だ。
カーフラのばあやとキャラ被ってる、タミュリス付のトラキアおばはん(今度は乳母ではなく、侍女長らしい)が、ヒッタイト王妃の態度に憤って吐く台詞に作者の主張が込められていると読むのは穿ちすぎだろうか。
「いつまでも母親ぶっていやですわね」「ヒッタイト王にお願いして…一日も早く王子さまとご婚儀をあげられませ」
 これをあざといといわずして何というか。
 子どものいない私に母親の心情を云々言う資格はないかもしれない。ただ、私は何かを神聖視し、それに楯突く輩は一方的に悪と断罪し、必要以上に貶めようとする価値観は好きじゃない。王子の好きにさせてやりましょうと微笑む母を信奉するほど私は人間が出来ていないので。息子の好きにさせた挙句国が滅んだら、タワナンナシュは臣民にどうやって責任をとるんだ。
王子は私のものよと増長し、ヒッタイト王の威を嵩にきたタミュリスを好きになる読者は少ないだろう。特にうら若い女性なら、やたらべたべたとしなだれかかり、性的な暗示すら口にする彼女を嫌悪することだろう。
しかし、今まで登場した数多の男キャラがヒロインに同じ事をしようとした。とりわけイズミル王子の行為はすべて一途な愛とやらで美化され、支持され、許容されてきた。
にもかかわらず、昏睡状態のイズミルを思いのままにしようとするタミュリス王女がなぜここまであからさまに貶められ、非難されねばならないのか、私は理解に苦しむ(メンフィスに夜這いをかけたカーフラも、ウナスの台詞を借りて非難されていたが)。まして褒め称えられる対象のキャロルがあれでは尚更に。


ついでに、気晴らしで読んでいるマンガとはいえ「イズミル様に仇なすものは皆死んでしまえ」だの「あんな品のないぶさいくな大男がメンフィスの弟を演じていることは許せません。はやく死刑なることを祈っています」だの「ナイルワニはアメリカのワニよりもグロテスクなので嫌いです」だの垂れ流される読者の熱血縷々レターを読まされると、個人的に非常に疲れるので心底やめてほしいのだが。毎度毎度何の恩恵を下さるおつもりですかまったく。