豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 よみがえる黄金文明展in東京大丸ミュージアム

公式サイト⇒http://www.yomigaeru-gold.jp/

最終日に駆け込みで見学できた。
大改装した東京大丸のなか、ごった返す東京駅のすぐ上でやっているとは…とチョト驚いた。かなり貴重なものがワンサカ来ているように見受けたのだが、トラキアの秘宝とかいっても21世紀に入ってから発見されたものが多いので、知名度はいまいちのようだ。公開期間が2週間程度だなんて短すぎだろう。
かくいう私も、イズミル王子の結婚話でもなければトラキア人と言われても全くピンと来なかったはず〜。

イズミル王子の婚約者タミュリスさんの故郷トラキアのひとたちって


現在のブルガリアを占めていたらしい。
伝説のトロイ戦争にも参加したらしい。
馬のアクセサリーまで金。
かなりのワイン好き。
来世の幸せを信じるタイプ。

…なんだそうな(要約)







ヘロドトスのおっちゃんの記した書物によれば、トラキア人はこのように紹介されている。

トラキア人は、全世界でインド人についで最大の民族である。私が思うに、もしこの民族がひとりによって統治されるか、全民族が結集するかしたならば、おそらく向かうところ敵なく、世界中の民族の中で、桁外れの最強を誇ることができるはずである。けれどそれは彼らにはとてもできぬ相談であって、実現の見込みはない。それだからこそこの民族は弱いのである。地方地方によってそれぞれの部族がみんな違った名前をもっているが、それらの民族もみんな習俗の点では、万般にわたってよく似ている。ただ、ゲタイ族、トラウソイ族、それにクレストナイ族の北方に住む部族だけは例外である。
これらの部族のうち、不死を信じているゲタイ族の風習については前に述べた。トラウソイ族の風俗は、ほかのトラキア人と大体同じであるが、子どもの生まれたときと、人が死んだ時にこんなことをする。子どもが生まれると、縁者のものがその子どもの周りに座り、およそ人間の身に受ける不幸を全部数え上げ、この子どもも生まれたからには、こうした数々の苦労に遭わねばならぬのだと嘆き悲しむのである。ところが死亡の場合には、死んだものは数々の憂き世の労苦を免れて、至福の境地に入ったのだというので、嬉々として笑い戯れながら土に埋めるのである。
次に、クレストナイオイ族の北方に住む部族の習俗はこうである。ここでは男がみんな多数の妻を持っている。ところで男の誰かが死ぬと、どの妻が死んだ夫に一番愛されていたかということで、妻同士の間に激しい競り合いが起こり、また死んだ男の友人たちもこのことに大変な肩の入れようをする。さて、その選に当たる栄誉を得た女は、男女を問わず部族民一同から賛美を受け、彼女の最も近い縁者の手によって、夫の墓の上で喉を切り裂かれ、夫とともに埋葬される。一方、残りの妻たちは、わが身の不運を嘆く――彼女らにとってこれほどの恥辱はないからである。
その他のトラキア人には、またこんな風習がある。自分の子どもを他国へ売りに出すのである。また、未婚の娘は放任して、好きな男と関係することを許しているが、既婚の女は厳しく監視する。彼らは妻をその両親から、多額の代価を払って買うのである。また刺青をしていることが生まれのよいしるしとなっており、刺青をしていないと、素性が賎しいとされる。労働をしない者が一番立派な人間で、土地を耕す者は最も卑しまれる。戦争と略奪で生計を立てるのが最高の生き方なのである。
【『歴史』巻の5第3節〜第6節】

「労働をしない者が一番立派な人間で、土地を耕す者は最も卑しまれる。戦争と略奪で生計を立てるのが最高の生き方なのである。」
という価値観で育ったタミュリス姫にも刺青があるのかしらん。嫁取りにあたり、銅が欲しいヒッタイト王はさぞかし婚資を積まされたことだろう。
ど〜でもいいことだが、タミュリス姫の髪飾り(?)の原案ってもしやこれかーー!?と出口のブルガリアンローズ製品陳列場に展示してあったパネル写真でひらめいたり。
個人的には、ぜひこういうタイプの女性にあの王子の嫁に来て欲しいところだ。二人してエジプトを征服し世界帝国建設してみたら?なにしろ頬当てまでついたトラキア戦士のかっこいい兜を眺めていると、ドキドキするのだよ。これを被っていた戦士はどんなひとだったんだろうと、もうそうを逞しくしてしまうわ。
全く予備知識がなかった私はイヤホンガイドを聴きながら見学したところ、ブルガリアの弦楽器ガドゥルカ(Gdulka)の演奏がBGMに入っていたりして、なかなかに楽しめた。よって図録も購入。このところ、毎夜寝る前に金銀財宝の展示品の写真を眺め返している。

2月21日からひと月、広島県立美術館で公開されているそうなので、お近くの方はこの機会にぜひ〜