豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 ゴーギャン展&東京国立近代美術館工芸館散策

東京国立近代美術館にて開催中のゴーギャン展(公式サイト)に出かける。
駅張りポスターで見かけた『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』を見たくなったので。土曜の昼前に入館したが、思ったほどの混雑はなし。
私はゴーギャンという画家についてさほど思い入れもなく、知識もない。せいぜい、タヒチまで行って女の絵を描いていたひとだよな、くらい。
図録によると53点くらいの作品が展示されていたが、分量的にちょうどいい感じだったかな。
目玉である『我々は〜』はボストン美術館所蔵で、海外から来たものあるのだが、意外に国内の美術館所蔵のものが沢山出品されていた。ゴーギャンの絵って日本で人気があるのだな。

展覧会に来るといつも、絵の見方の勉強をまじめにしておくのだったと後悔する。
思想を読み解くにはある程度訓練が必要なんじゃないだろうか。
何を見ても、はぁきれいだなあ、くらいしか感動がないだなんてバカみたいじゃないか。
そんな私はゴーギャンの描く人肌の、どこか青ざめた色合いがいいなあと思った。印刷物で見ると、べちゃっとしたタッチが大味な感じになってしまうが、実際に見るととても深みのある色合いなのに驚く。
渾身の大作『我々は〜』は、まず表題がいい。それを考え始めると気が狂いそうになる。
実物は間近でみると、背景の青と溶け込んだ緑色の具合が謎めいた雰囲気で絶妙に素晴らしい。おかげでグッズのプリントの色が大変不満に感じられて全く購入意欲が沸かなかった。
一番良かったのは、大原美術館所蔵の「かぐわしき大地」だろうか。女神のようなタヒチの女性に圧倒される。

お昼は併設のレストランで食べてみたかったのだが(クィーンアリスが入っている)、既に行列していたので諦め、徒歩5分のところにある別館(工芸館)へ移動。


前からこの建物に入ってみたかったのだ。
ここは旧近衛師団司令部庁舎だという。華麗だがどこか不穏な気配が漂うのはそのせいか。



正門前の銅像を発見。
乃木大将か??と思ったら、近衛師団長を務めた北白川宮能久親王(1847−1895)の像との解説文があった。

全く知らないひとだったので帰宅後ウィキで調べてみたところ、なかなか波乱の生涯を送られた親王のようである。

親王家の庶子として生まれ、幼くして都を遠く離れた江戸の地で僧侶として過ごし、一時は「朝敵」の盟主となって奥州の地を転々とし、後には陸軍軍人として台湾平定の英雄とされ、異国の地で不運の死をとげた数奇な人生は日本武尊にたとえられた。

この日は時間があまりなく、「涼しさを招く」と題された企画展は早足で見るしかなかったのだが、竹籠細工、ガラス、藍の着物、紅型、芭蕉布、越後上布、目で涼しさを楽しめる。日本の工芸品の繊細さ、デザインの美しさにしばし時を忘れた。なかでも秋田市の赤レンガ館で見た鍛金家関谷四郎氏の作品(ポスター表紙を飾っている銀の瓶)に遭遇したのも嬉しい驚きだった。

半分しか見られなかったので、ここは是非また今度ゆっくり見て回りたいところ。

ついでながら、ゴーギャン展期間中は東京駅日本橋口⇔会場間を走る無料シャトルバスが運行しており(参照)、お堀の景色を楽しみながら楽々移動できる。
帰りに乗ってみたところ、地下鉄乗り換えよりずっと便利だったので、来館の際はご利用をおススメします。