豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 無事です

まるで土地勘のない場所で一晩眠れぬ夜を過ごし、土曜日に這うようにして我が家に帰宅して以来、ずっとラジオを点けたまま、寝るときも流し続けている。引越し前にTVが壊れ、TVなし生活にも馴染み始めていたが、今度引越ししたら絶対にTVを買う。やはり速報性にかけてTVに勝るものはない。
さっき、計画停電のニュースが流れてきた。首都圏の鉄道で運休、減便のところがかなり出るらしい。この影響で、明日の出勤は相当厳しいかもしれない。

あの時、丁度仕事の打ち合わせで私は千葉の某役所を訪問中で、予定より少し早く到着したため担当者を待ちながら準備してきた書類を机に並べているところだった。ゆらっと来た瞬間、あれまた揺れてるな(数日前にも地震があった)と思いはしたが、そのうち納まるだろうと椅子にかけたまま書類を見直していたところ、どんどんどんどん揺れが大きくなり、まるでボウルのなかでゆっくり回されながら揺すられているような感覚に襲われた。揺れの波は更に徐々に大きくなり、ビル全体がギシギシという不気味な音を立てるに至り周囲が騒然とし始めた。
私は座っていられなくなり、上司を引きずるようにして机の下に潜り込み、息を潜めて揺れが収まるのを祈るように待ったが、不気味な軋み音も、揺れも一向に止まない。丁度視線を上げた先に大きな壁時計があり、実に4分近く、早く早くこの揺れ止まってと祈る私の凝視をせせらわらうように針は進み続けた。壁に備え付けの移動式書棚が、ギシギシという軋み音に同調するかのようにゆらりゆらりと左右に移動していた様子が目に焼き付いている。そのうちスチール戸棚の扉もパタパタと自然に開いて音を立て始めた。フロアで物はそれほど落下しなかったが、まるで船の上にいるようなあの何ともいえない不気味な揺れと、鳴り響いていた嫌な軋み音を私は一生忘れないだろう。

こんなに長い間大きく揺れるということは、そう遠くないどこかでとんでもないことが起こっているのだと思った瞬間、都内にいるはずの家族や婚約者の顔が思い浮かんだ。強烈に、こんな見ず知らずの場所で知らない人に囲まれて死にたくない、死ぬんだったら彼らの顔を見てから死にたいと思った。

津波の映像を見るたび胸が痛む。
突然生をもぎ取られた人の想いはどこにいくのだろうと。

でも泣いてる場合じゃない。
しっかり生きていく。それしかない。