豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2012年2月号月刊プリンセス連載分雑感

月刊 プリンセス 2012年 02月号 [雑誌]
【今月のネタバレあらすじ】
シバ王国からの帰途、メンフィスは新たな香の交易路を拓くべくアビシニアから川を遡り、アトバラと呼ばれる奥地に居を構える大商人ゲブレの屋敷を目指す。途中目にする密林の光景は、メンフィスたちエジプト人一行の目を大いに驚かせるのだった。主人マシャリキの命により船底に潜航しつつ様子を伺うエレニーは、王の目的地が大商人ゲブレの屋敷と知り、王の意図を訝りながら尾行を続ける。やがてメンフィスは船を下り、ラクダに乗り換えて、アトバラの更なる奥地へ向かう。未知の地で香の道を開拓するという野望が、メンフィスの胸を熱くしていた。
その頃、雪深きエルジャス山に潜むイズミル王子は、痛みに苦しみながら各地の諜者から寄せられる報告書に目を通していた。宿敵ジダンタシュが再び暗躍を始め、また、ハットウシャではトラキアとの戦が起こるのではと準備に入っている等々、次々ともたらされる知らせに焦るイズミルだったが、雪中を強行しての山岳踏破はまたしても王子の身を痛めつけ、思うように動けない。ラバルナ老師は従者クマルを通じ国を治める者はまず自身を治めねばならぬと、王子に忠告するのだった。
一方、メンフィス王の帰りを待つテーベにおいて、視察と称し度々兵を率いる王弟ネバメンへの声望が高まっていた。王妃キャロルは、メンフィスの不在を楽しむかのように尊大に振る舞うネバメンに漠然とした不安を抱え、メンフィスの留守るため自分ができることをしようと奮い立つ。一人の民として民の中に入り、民の生活を見てみたいと変装し、ルカとテティを伴に川岸の街を歩くキャロル。街は活気に溢れ、豊かで、平和を享受していることに安堵する。
だが、その頃、黒海のトラキアの港からエーゲ海をエジプト目指して南下する一艘の船があった。指揮を執るのはトラキア王子シタルケス。
妹タミュリスの結婚を阻むナイルの姫とはどんな女か、自ら富国エジプトへ潜入し確かめんとしていた。
続きは3月号で


【今月のお言葉】
「う〜む 首の長いキリンか 一匹生け捕りにして持ち帰り…キャロルをおどかしてやろうかな」
「ははは…それは…ファラオ!」(←ビミョーにヤメテ〜顔)



【雑感】
プリ誌、タイトルロゴが今風になったわね。

とりあえず、連載再開おめでとうございまする(ひと月遅れですが)。
再び摩訶不思議王家ワールドを読ませていただいて、ホント嬉しゅうございます(真面目に)。
見たところ、タッチは休載前と変わってないし、カラー扉の裏のファラオの顔立ちなども美麗に描かれているのではないかと。
来月から3か月連続でサイン入り複製原画プレゼント(B5額入り)企画あり(抽選)とのこと。
さて。先月はほとんど動きがなかったので、今月から本格(牛歩)再開といったところか。
一読して、少々面食らってしまった。トラキアのシタルケス王子が、こんな早々にエジプトに絡んで来るとは思っていなかったので。ヒッタイト王を罵倒してさっさとハットウシャから引き揚げ、嘆き悲しむ妹を連れてトラキアに帰国し、トラキア王に事の次第を報告するや、もうエジプトへ向けて船出してしまったのね。(で、その間、イズミル王子は雪山道で苦労しすぎて寝込む羽目に…潜伏しているはずなのに近隣諸国で居所が吹聴されているわけだが)
ラストの煽り文には「キャロルを殺害し、かわいい妹の願いを叶えるため、トラキアの王子がエジプトを目指す」とある。お蔭でメンフィス遠出中の今のエジプトに、ナイルの姫萌えーー!のセレブ男キャラが不足してるから早くも召集されたか、とか勘ぐってしまうわよ。私としては、シタルケス王子にはこのままエジプトに攻め込んでもらい、伝説の「海の民」のようにメンフィスの留守中大いに暴れまわってもらって全然かまわないのだが、どこぞの傷心出奔王子のように彼も恋敵に敗れた妹を溺愛するお兄様キャラなせいか、キャロルに一目ぼれ→拉致直行(そして大抵失敗)要員の匂いがスル。。。
でもまぁ、シタルケスは、自称将軍ネバのようななんちゃって視察、なんちゃって閲兵ごっこにかまけて悦に入るようなアホ男ではないので、キャロルをエーゲ海あたりまで引っ張り出してくれれば、それなりに楽しい展開になるかもしれない。とにかく、どーなっとるんじゃエジプト首脳部、もとい軍の指揮系統は!?と唖然とする王妃発言。
「(ネバメンは)メンフィスの留守に自分で勝手に将軍になりエジプト軍を指揮して弟の地位を尊大にひけらかし…」
さらに唖然とすることに、ネバのやりたい放題を放置してるキャロルが、私も留守を守らなきゃ→農地視察はネバとバッティングするからイヤン→だったら街へ!と変装してお忍びという発想に至ること。
というより、メンフィスのいないエジプトでネバの独断専行をキャロル以外の誰も不安視しない、むしろ「頼もしい王弟殿下じゃ!」と好意的に支持する人間が多い(表面上、ウナスやイムホテップ宰相でさえもそう見える)という今の描かれ方はどういう意味なのだろうなあと思う。今やキャロルの親友格に成り上がったテティですら、ネバメンを男らしいと好意的に見て、キャロルの不安がる気持ちに気づく様子もない。まるで賢いキャロルだけがネバの悪の本性を見抜いている、とでもいうような扱い…さすが神の娘〜というのは邪推かしらん。
ネバが悪意に満ち残忍で野心的な人間であるということは、初登場から繰り返し描かれているが、細川漫画におけるブサイク悪党の宿命で、こいつは底が浅く、思慮も足りない人間ということも同じくらい親切に(執拗に)描かれている。そのためネバから底知れぬ不気味さ、怖さを感じることは私には到底無理なのだが、そんな男にころっと騙されているエジプト臣民の善男善女っぷりが興味深い。なぜってあそこのネバ支持層とナイルの姫様スキスキ層はほぼ重なるから。キャロルとネバメンが対立したら、あの寒気がするよな熱狂的民衆はどちらを支持するんでしょうね。

ついでに、ネバとキャロルの王位継承権って(仮にネバにそんなものがあるとすれば)、どっちが上なのかと気になる。
以前、私が立てた仮説(ていうかモウソウ)では、あのエジプト王国のルールはこうなっていると思われる。

  1. 嫡出>庶出
  2. 男>女
  3. 王の血筋>王妃(これはメンフィスの親戚が全く出てこないので、確証に欠けるが)

この法則に従うと、仮にメンフィスがころっと死んだ場合、次のファラオはキャロル王妃さまを〜と叫ぶ世論を押し倒す誰かが考えるシュミレーションは以下のようになる。

第一位⇒先王ネフェルマアトの第二王子(笑)ネバメン殿下
第二位⇒同第一王女アイシス腹の王子
第三位⇒同第一王女アイシスの夫、バビロニア王ラガシュ
第四位⇒同第一王女アイシス腹の王女の夫
第五位⇒同第一王女アイシス
第六位⇒同第一王女アイシス腹の王女
第七位⇒王妃キャロルの夫
第八位⇒王妃キャロル

この通り、キャロルはネバメンに大差で負けてしまうことになるんじゃないかと思われるのだが、この際「ナイルの女神の娘」というプレミアムオプションがどの程度大番狂わせに貢献するのかが知りたいところ(・・・って、これはメンフィスが暗殺されて帰ってこない設定の話になってるわ!エレニーに期待しすぎ)。

王家に今後も「政治」が描かれることはまずないと思うが、キャロルにはパターン通り拉致されるよりは、国内で苦労して頑張って欲しいのよ。夫たる国王は冒険行に夢中で留守、子どものない王妃は後ろ盾なく、善意あふれる周囲からは理解を得られず、王弟派の台頭にひとり苦戦する姿とか見てみたいのよ。
次号、大商人バザルじゃなくて、ゲブレとやらがルビンスキー風(漫画版の)だったらおもしろいなとか期待しつつ、おわり。