豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2012年8月号月刊プリンセス 連載分雑感

月刊 プリンセス 2012年 08月号 [雑誌]
【今月のネタバレあらすじ】
バビロニア王国の首都バビロンは祝賀に沸いていた。
王妃アイシスが王子を産んだのだ。待望の世継ぎ誕生にラガシュ王も臣下も民も興奮しているなか、未だ弟メンフィスとエジプトに心を残すアイシスの嘆きは深く、ついには、自らが産んだ子は弟と間の子と思い、いつかエジプトへ帰り、わが子をエジプトの世継ぎにと誓うのだった。
アイシスに男子誕生の知らせは、エジプト王宮にも届き、アイシスの裏切りを苦く思い出しながらも、忘れようと自らに言い聞かせるキャロル。
一方、アトバラの奥地から紅海を目指すメンフィス一行は、案内人にすり替わったエレニーの部下に誘導され、元来た川筋とは別の流れに入り込んでいた。
周囲の光景から異変に気付いたメンフィスは、案内人を追及するが、男の口から出たのは意外な名で・・・。

以下次号に続く。


【今月のお言葉】
わたくしはいつの日か
この子をエジプトの世継ぎと成そう!!
おお、わたくしの願いを込めて…
わたくしの想いをこめて…
わがいとしい子よ
わたくしが産んだ…そなたを
わたくしのメンフィスの和子と思って育てましょう。
アリ
この思いのほかに、わたくしの心は救われぬ!
*1


【雑感】
今月付録は「王家の紋章ロイヤル扇子」。
毎度ナイスなセンス。

正直なところ、もう先月号で読むの止めようと真剣に考えていた。
が、虫の知らせかふらふら買って、1ページ目を開いた途端びびびびっくりーーーーー!
いつもは一読後放置しているのだが、何度も読み返してしまった。
アイシスが、子どもを産むとは。しかも男の子を。
「しばらく噂を聞かないと思ったら〜」などとテティがフォローにもならないフォローしていたが、一体いつから本誌でアイシスを見かけていないんだっけ?
と、ここで気になり過去ログ遡ったら、2005年7月号連載分以来だった(爆)

なんと―――― 
7年も前なの!??
そりゃ噂も聞かんわな。あんまりにもアイシスの不在が長引いたので、あのシーンは悪阻じゃなくて自棄食いの食あたりじゃないのかとか、いろいろ勘ぐってしまったじゃないか。


何はともあれ、王家で、しかも主役級に新しい命が生まれるなんてことは前代未聞の椿事なので、さすがのナナメ読者の私にもちょっとした感慨が沸いてくる。
少なくとも摩訶不思議王家時間で、7か月くらいは経過したということになるから、その間に重傷イズミル王子が婚約者に怯えて出奔したり、メンフィスが香を調達しに船出したり、シバの女王と色々あったり、密林を遡ったり下ったり、キャロルはヅラ被ってお忍びしたりと忙しかったのだなぁ。。。。
まぁ、茶化しはそのくらいにして、個人的には今月号でアイシスが「わたくしが産んだいとしいわが子」と呼びかけるシーンに安心というか、ラガシュ王の子なんて見たくもないわと毛嫌いしなくて良かったわと妙な感慨に耽っていたりする。
腕に抱いているのがラガシュ王との間の子という事実を無視して、メンフィスとの子だと自己暗示をかけないと生きて行けないのだとしても、「この思いのほかにわたくしの心は救われぬ」という言葉は、アイシスの生々しくも哀しい決意が垣間見える良いシーンだと思う。
愚かだが、嘘はない。こういう生き方しかできないのがアイシス、と思わせる。
これに対し、キャロルの吹っ切れ方のほうが怖い。
アイシス出産の報を聞いて、アイシスは世継ぎを産んでバビロニアの民に愛されて幸せになったのだ、複雑な思いに苦しんで苦しんで悩んだ時もあったけど、メンフィスのたった一人の姉だから、これからなんとか忘れるようにつとめるわっ!とガッツポーズのキャロル。さらっと2ページ。
苦しんで苦しんで悩んだ、と言いはするものの、今までキャロルのそういう葛藤が一切省略されているせいで、どこまでも軽いシーンに感じる。
紫のバラを切り刻めとは言わないが、キャロルの今の前向き姿勢は何か釈然としない。
頭では許せても、感情がついていかないということは多々ある。そこを逃げて欲しくないのに。
主人公にどろっとした部分が無いのと、どろっとしたところを描かないのとは全く違うだろう。
キャロルもアイシス絡みで命に係わる悲しい思いをしたことがあるだけに、猶更、そう思う。
この先、エジプトの血を引くバビロニアの王子が、どんな人生を歩むのだろうなぁ。メンフィスが子を作らないまま死んだら、アイシスの野望は案外早く叶うかもしれない。
メンフィスとの子だと思えるくらい、アイシスに似ているのだろうか。産着に包まれた王子の顔が、全く見えなかっただけに、モウソウ逞しくしてしまった。
(昔、ちょろっと書いた隙間話にアイシスが産んだバビロニア王子を登場させたせいか、我ながら感傷的だわ!はっはっは〜なんてね)

*1:バビロニア王妃アイシス