豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

エクソダス 神と王

去年記事でも触れたリドリー・スコット監督の「エクソダス」を、先日近所のシネコンで観ました。
公開第1週の平日昼間でしたが、8割くらいの入り。中高年の観客が多い印象。男女比は半々くらい。セシル・B・デミル監督「十戒」も観た世代かなあという感じでしょうか。3D日本語吹き替え版も同時上映されていましたが、吹き替えは地雷多しとの個人的先入観により2D字幕版で鑑賞しました。(話題作りで人気俳優やお笑い芸人を起用するのは心底止めてほしいのよね)

公式サイト(日本版)

映画『エクソダス:神と王』本予告 - YouTube

以下つらつら感想など。
・スペクタクルーー!戦闘シーンなどの映像は確かにすごかった。
・特に王都ペル・ラムセスの俯瞰ショットはもう一度見たい。
・衣装とか美術セットも美しい。舞台風のカラフルでエレガントな「十戒」とはまた違ったゴージャス感がよい(ハリウッド映画なので、史実だ時代考証的云々は割愛で可)
・非西洋世界の話でのリドリー監督の女優選択眼と衣装センスはワタシのツボだ(ネフェルタリがイラン系女優だったり)
・でもシガニ―・ヴィーバー(王母役)の登場シーンはたったあれだけ?(泣)
・冒頭繰り広げられる「カデシュの戦い」はラムセス2世の治世(5年め)の話なのでは…ラムセス父(セティ1世)の時代の話になってる??碑文に残るラムセスの大法螺をモーセの手柄にスライドさせたのかしらん。
・そしてカデシュの戦いでの敵軍(ヒッタイト勢)、ビジュアルがエジプトに比べて格段に地味で黒いのに笑。ヌビア人もヒッタイト側に多数参戦していて燃えますな。
・セティ王を演じていたのはジョン・タトゥーロだったのね~全然判りませんでした。確かにあのしゃがれ声は彼だわね。
・「十の禍(血の海、蛙、ぶよ、あぶ、家畜の死、腫物、雹、いなご、暗闇、長子の死)」で、特にエジプト人の長子が死ぬ夜のシーンが怖くてよかった(灯明が段々消えていく不気味)
・紅海が割れなかった(笑)。これは近年の学説で、モーセ達が渡った「葦の海」は、紅海ではなく、地中海沿岸の湖沿いの交易ルートのことで、テラ島噴火時の地震による津波で一時的に引き潮になった自然現象を踏まえるという説を採用したのか?(そのせいで一部物議を醸しているらしいですが)
モーセが「神」と対話するシーンでの「神」の姿にはビックリ。
・最後の献辞が弟の故トニー・スコット監督に捧げられていてうるっとくる。
クリスチャン・ベールについて(駄長文)
思いっきり個人的好みで言わせてもらうと、私はモーセ役のクリスチャン・ベールの魅力が今一ピンと来ない(達者な俳優だとは思いますが)。特に彼が超大作でヒーローを張る作品、例えば「バットマン」の一連のシリーズとか「ターミネーター4」は大抵応援する気を失くす。おそらく、彼の醸し出す重苦しい雰囲気、一人思いつめたような悲愴な感じが苦手なのでしょう。そのかわり、彼がやや引っ込んでアクの強い相手役に振り回されて踏ん張る系の話は結構好きです。ラッセル・クロウと共演した「3:10 to Yuma」とか、故ヒース・レジャーの狂気っぷりが素晴らしい「ダークナイト」、去年の「アメリカンハッスル」も滅法面白かった。
で、この「エクソダス」の場合も、当然対立する役柄のエジプト王(ラムセス2世)のジョエル・エドガートンに期待していたのですが、このファラオにカリスマ性が薄く、少々気の毒感が強すぎ。
ラムセスが兄弟同然に育ったモーセの資質を素直に認め、弟として愛し、かつ己の器量が彼に及ばないことに忸怩たる思いを抱えるあたり人間的でよいのだけど、その分、ヘブライ人同胞を解放するという使命を背負って戻ってきたモーセに相対するとき負けている感が駄々もれ。古代エジプトの王様は、メンフィスくらい、いや、少なくともユル・ブリナーのラムセスくらいは「余は神である」オーラが欲しい!!

 例)俺様は神、なラムセス(「十戒」より。以下同)
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 例)古代エジプト王子ビジュアルなラムセス(完璧!)(左はモーセ
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 比較例)王子なモーセ古代エジプト風を好まない(チャールトン・ヘストン
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 例)モーセを忘れられないネフェルタリを妃にするクールなラムセス
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 ※王家ファン的呟き(超駄)
  今回、ついでに「十戒」も久しぶりに見直してみましたが、やはり「王家」もこの大スペクタクル映画の影響を強く受けたんだな~という印象を強く受けました。特に初期王家。ビジュアル面だと、ネフェルタリの衣装や装飾類はアイシスやキャロルを思わせるし、都でのオベリスク建設シーンとか激しくデジャブ。老女奴隷の帯の端が橇に巻き込まれて引き殺されそうになるシーンとか、水汲み奴隷女がエロ貴族に目をつけられるシーン、宮殿でのビキニ踊り子たちのダンスシーンとか色々彷彿とさせる場面がありますね。
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 「エクソダス」は「十戒」と違って、モーセとラムセスの間にネフェルタリにあたる女性が登場しませんが、その分「神と王」の対立話としてすっきり見られてよろしい。あ、余談ですが、ワタシ的には「十戒」ラムセスはラガシュ王のポジションです。(ハゲだから?というツッコミはなしでお願いします)。
  近年、神の娘キャロルは「サントリーニ島(テラ島)」が遠からず爆発する云々とノタマッテますが、この通りの現象がエジプトで発生したら果たして彼女と彼女のダーリンの手におえるのか心配になりました(大嘘)

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こちらは、モーセとラムセスの兄弟愛が運命によって引き裂かれる、という路線。
アニメですが、わりと好きな作品です。