豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2006年6月号プリンセス掲載分 雑感

月刊 プリンセス 2006年 06月号 [雑誌]【今月ネタバレあらすじ】

泥酔ジダンタシュ、斧振上げてキャロルに迫る。傍らのウリアも、制止するどころか高笑いして息子をけしかけるのを見るや、キャロルは激しい憤りを感じ、反射的にウリアを突き飛ばして外へ飛び出す。しかし、そこは屋根の上、背後は聳える断崖、目の前は渦巻くユーフラテス河で逃げ場なし。キャロルは追い詰められてしまう。そのとき、崖上から様子を伺っていたルカとハサンがキャロルのピンチに気づき、石をおとしてジダンタシュの注意を逸らす。曲者に気づいたジダンタシュは部下に捕獲命令を下し、大騒ぎに。その声を上流から川舟部隊を仕立てて密かに回りこんできたメンフィスが聴きつけた。急ぎ近づくと、まさに殺されかけているキャロルを遠目で確認。メンフィスが放った一矢はジダンタシュの左腕を射抜き、キャロルは辛くも助かる。崖上の敵に加え、今度は河から次々と上陸してくる新手の敵に、混乱を隠せぬジダンタシュたち。隠れ家一帯はたちまちのうちに乱戦となり、そのなかを一気に駆け上がったメンフィス王はようやく愛妃を腕に抱く。感激で言葉も無いキャロル。
そこへ更にウナスの手勢が合流し、エジプト側が優勢となる。メンフィスは妃を苦しめたジダンタシュを討つべく、一騎打ちを挑むが…。


【今月のお言葉】
ジダンタシュ!ウリア…
まるで…まるで悪魔のような親子!
酔って…わたしを…殺すのを楽しんでいる。
わたしが病気で動けないのを知っていて
わたしをなぶり殺しにしようと楽しんでいる!
なんとしても なんとしてもこんな卑怯な大男に殺されたくないっ」
*1


【今月のダラダラ】
え〜お待ちしておりましたような、そうでもないような…。とにかく愛と感動を世界に贈りつづけて30年(遠い目)「王家の紋章」連載再開で新章(第30部)スタートである。クリアファイルのオマケなんぞつけるし、雑誌も気合入ってる。なかなか綺麗な印刷で、うしろのヒエログリフの透かしもいいかんじ。ただB4サイズのファイルなので、A4サイズ常用者な私には使いでがない。ま、オタクな王家切抜きでもストックしておくぶんには問題なさそうではある。ロゴ文字、「SPECIAL王族MEMBERS」って頭痛が痛い気配アリ。
嬉しいことに、今月の見開きカラーイラストはとても綺麗だった。アッシリア風壁画をバックにしたキャロル。両手を目の高さに上げ、ふわりと背後に逃げる風情の嫋々たる一枚である。やっぱり、カラーイラストは素晴らしいわぁ〜〜!バックの壁画といい、キャロルの衣装も装身具の塗りも素晴らしく手が込んでいる。この壁画どっかで見たよ〜な?と思ってネットで捜したら、やぱりあった。アッシリア美術では有名な逸品で、大英博物館に収蔵されているアッシリアのニネヴェ王宮を飾っていた壁画の一枚らしい。タイトルは「庭園でくつろぐアシュルバニパル王と王妃アシュル=シャルラト王妃」と呼ばれる壁画の部分のようだ。庭園の樹木の描写といい、国王夫妻の衣装の細かさもそっくり再現されていて、すごいなぁとただただ感心してしまった(ああいう着色で残っているのかは調査中。色は細川センセの創作かもしれない)。それにしても、なぜにアッシリア?いったん引き上げたアルゴン王がまたこの先絡んでくるのだろうか?イラストでは省略されているが、この壁画の現物には、敵対したエラム王の首級が木に掛けられている様子も描かれているので、この夫婦愛溢れる庭園図も、実は首を肴に酒を酌み交わす帝王と帝妃という、さすが尚武の国アッシリアな品なのである。アッシュルバニパル王は図書館を作らせたことで有名だが、王妃アシュル=シャルラトも家父長制強固なアッシリアにあって、けっこうな権勢を振るった女性だそうだ(尤も、一番の女性権力者は、アッシュルバニパル王の祖母ナキア太皇太后のほうだろうが)。たかが背景イラストだから、イメージ、ムードとして眺めればよく、特に深読みするようなものでもないのだろうが、30部再開号の扉絵だけに、ちょっと気になったので書いてみた。というより、まだ正妃も世継ぎもいないアルゴンに偉大なアッシリア帝王のキャラを当てはめるのは無理だろうけど。


さてさて、キャロル拉致リレーも第九走者にしてついにメンフィスにバトンが回ってきたーーーーー!
ジダンタシュたちの隠れ家にたどり着くまでの画面展開は、けっこう面白かったと思う。
霧に紛れて河を下るメンフィスたち、そこへ何やら緊迫したやりとりが聞こえてきて、その方角を頼りに進むと、霧がぱぁ〜っと晴れて前方河岸の大ショット。
「おお、あれはーー!!」屋根の上に追い詰められている小柄な人影こそは!!
戦斧を振りかざし迫る大男。急いで矢をつがえたメンフィスは、きりきりと弓を引き絞ってひょうと放つと、200メートルは離れていそうな標的の腕に矢がぶすっと。
愛妃の命を文字通り彼が救うのである。
ああいうのをみていると、やっぱりメンフィスは正しくヒーローとして描かれるキャラなんだなぁという思いを強くする。絵になるんだわ、やっぱり。
それはいいのだが、続く再会シーンにはえ?もうゴールなんですか!?と正直驚いた私である。
決して、これ以上引き伸ばして欲しいというわけではないのだが…なんだか、え?もう会っちゃっていいの?ってかんじ。めでたさも中くらいなり再開号とか詠んでみたり。思えば、ン年前(泣)だらけまくりのお気楽王宮物語が下エジプト王宮騒乱事件を起点に怒涛の進行を始め、それから大火事・大水・新世代ネタ・我が妃ネタバレ・因縁の対決とかてんこ盛りの急展開だった。それが、ようやくひとつの決着をみようというのに、ここにきてまだ早いと感じるこの心境はなんなのか。なんといっても、ここ数年ひっぱってひっぱってびろびろに伸ばして、再開のクライマックスのボルテージを上げまくるのが王家展開の常道だと思い込んでいたせいか、今月でヒーローヒロインの再会までたどり着いちゃうとは思っていなかった、ってのもある。
ジダンタシュはただの酒乱だったかとがっくりきたってのもある。
初登場時はそれなりに益荒男っぽかったのに、どんどん河豚の妖怪ぽくなるジダ坊の顔が怖いってのもある。
悪魔のような母子っていうか、落語の親子酒みたい…楽しそうね良かったねってのもある。
二人の再開シーンがやけにあっさりで拍子抜けってのもある。メンフィスはウナスが駆けつけるとすぐにキャロルを預けて、心ははやジダンタシュとのタイマンに飛んでいて、キャロルは傍でオロオロ。ホント、(王家の)男は勝負が好きよね。モチロン、あの場は一応戦場だから、あまりページを割いて傍若無人にラブラブされても業腹だが。
何度も書いているが、私は基本的にメンフィスと離れ離れになったキャロルが、頭を振り絞って苦難に立ち向かって再会するワンパターン話が見たいだけなので、今回は(も?)途中で怪我して意識モーローになってしまったキャロルにはヤドナナとかハサンとかの助っ人がつけられたり、都合よく当面の敵が退散したり、怪我したりで、キャロル自身の頑張りがあまり見られなかったのが不満だ。
流れるような展開は歓迎だが、流されるヒロインは好かぬ。

というわけで、ウリア母子に対する期待は綺麗さっぱり霧散し、表紙カラーがつくかぎり、また私のプリンセスウォッチャーな日々が始まるのだ(たぶん)。

*1:エジプト王妃キャロルさん