豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 2007年7月号月刊プリンセス連載分 雑感

月刊 プリンセス 2007年 07月号 [雑誌]【今月のネタバレあらすじ】
今日も平和なエジプト奥宮殿。まもなくミノス王が来訪すると知らされた王妃キャロルは、クレタ島で苦楽を共にした侍女テティと思い出話に花を咲かせていた。そのうち、少年王をおいし〜〜いお菓子で歓迎しましょう♪さぁ研究よ!との王妃様発案。侍女たちも大賛成。そこへ、ネバメンの養父タルシシの交易船が5年前に沈没していたらしいとの報がもたらされ一同に衝撃が走る。同じくこの件に関して寝耳に水だったメンフィスは不快感を露にし、真実を糾問すべくネバメンを召喚した。何も知らぬネバメンはいそいそと伺候してくるなり、開口一番「兄上とエジプトを守るためにエジプトの将軍に就任させて欲しい」と願い出る。しかし、口上を聞き終えたメンフィスが単刀直入に「養父が5年も前に沈没事故で死んでいることをなぜ黙っていたのか」と問い糺しはじめると、虚を衝かれたネバメンは大いに動揺。万事休すと思えたそのとき、ネバメンは咄嗟にその場に泣き崩れ養父の死を今初めて知らされたような大芝居に打って出る。あまりの悲嘆っぷりに廷臣も王妃も、そしてメンフィス王までもがほろりとほだされ、近くタルシシの最後の様子を知る目撃者がミノア王とともに来訪するので話を聞くがよいと慰める始末。こうしてネバメンは、巧みに周囲の同情をひき辛くも窮地を切り抜けたのだった。
その頃、大緑海をミノアの軍船がエジプトを目指して進んでいた。甲板にはすっかり健康体になったミノス王と、彼を守護するユクタス将軍の姿がある。ミノス王は恩人であるナイルの姫との再会に胸を高鳴らせていた。
エジプトでは少年王の到着を待つ王妃と侍女たちのお菓子研究が着々と進行中。そしてまたネバメンは、自分の後ろ暗い過去の秘密を知っているかもしれない目撃者の出現情報に、気が気でないのだった……。

⇒以下、8月号に続く。




【今月のお言葉】

ウオオォォ・・*1



↑↑↑↑
一臣下「なんと弟君はひどいお悲しみじゃな……」
某王様「なんと…あのネバメンがあのように…男泣きするとは思わなかった」
某王妃様「どんなにショックなことでしょう……」
某将軍「イムホテップ宰相さま、あの弟君のお嘆きようは…」
某宰相「ミヌーエ将軍!まずは…ミノス王のご来駕をお待ち申し上げようぞ」
某間者「弟君…なぜかザラつく男だ…」



【今月雑感】
『ザラつく男』ってあなたが言うとビミョーに卑猥な比喩に聞こえるのですが。っていうか、このエジプト人とヒッタイト人の現状把握力の差は何事?

え〜ワタクシはかねてより、マジで大丈夫なのか大エジプト帝国?と首を傾げ続けてきた読者だが、とうとう今月、ギャートルズ@ネバ男のド田舎芝居役者も裸足で逃げ出す大袈裟演技に王さま以下コロッと騙される人続出シーンを見せられては、うわぁ、あたいがナイル河に飛び込んだ暁には、サンドペーパー成金計画も捨てがたいがいっそ各種葬式を渡り歩く泣き女斡旋稼業でひと財産作るべかと思ったりなんかして(疲れてます)。
なななななんてエジプト王宮の皆さんは揃いも揃って心の美しい人たちなのデスカ!世界に伝えたい人を愛し人を想いやる心とやらが輝いてましてよ。あまりに眩しくてすっかりヤサグレたわたくしは雑誌閉じてしまいましたわよ。なかでも一番ぶったまげたのがファラオの反応。ものすっごい「いい人」に見えるんですけど、頭でも打ったの?弟がショック受けるようなこと言って悪いことシタナ〜と鼻染めてるそこのメンフィスッ!
アナタ、人殺しなんかしたことないでしょう!?あれじゃあ、傷心のネバメンを慰めたいとかいって、ねだられるまま将軍位を与えたりしそうで怖いだがや。そのくらい性善説なエジプト王宮人に顎が外れそうになる。前回あたり、ミヌーエ将軍とイムホテップ宰相がヒソヒソやってるのに期待していたのだが、二人の反応みるかぎりダメそうね。どーでもいいことだが、先日地下鉄車内で偶然隣り合わせた美爺俳優S氏が、いま大騒動になっている年金納付記録漏れ問題に関して「(無責任役人どもを)ブッ××してやりてぇよ!」と憤懣遣る方なしと大いに怒ってらっしゃった姿をお見かけしたのだが(それがとてもサマになってカッコ良かったのだが)、恐らくあの方と同じお年頃の“エジプトの智慧”宰相が対決したらどんなことになることやら見てみたいものだわ。
ってそれはどーでもよく〜

魂の底からアメンラーに疑問を呈したいのだが、今の王家って対象年齢何歳くらいの読者を想定して描かれているのでございましょうか?いやそれとも、年齢などそもそも問題じゃないので?(戸田風)あの絵をクリアできても、更にその先でも受信状態良好かどうかで振り分けがあるので?(うるせー)
例えば今月のメイン番組「ナイルの姫さまと侍女たちのお菓子大作戦」(泣)。


少女マンガで登場するお菓子というと、それ自体に大して意味はなくてもいかにも夢々しくて小粋で…とにかく華やかで忘れられないシーンに出来そうなのに、今月キャロルたちが執拗に「栄養」だの「あま〜〜い」「美味し〜い」だのと連呼すると、ロマンもへったくれもあったもんじゃない。栄養つけるどころかかえってミノスの身体に悪いんじゃね?という疑惑が沸々。なんつーか、ワタシが美味しいと思うものはミノス王も大好きよね!身体にもいいんだし!と微塵も疑ってなさそうなキャロル(とその周辺)の無邪気なはしゃぎっぷりが恐ろしい。昔はこれでも、細川マンガに出てくる朝食のブリオッシュとか、パンとお茶だけのティータイムとか、ママのお手製のクレープデセールなどに胸ときめかせた私ですのに。あれはどこの食べ物だったのだろう。
だいたい、ついこのあいだインダス河がもう直ぐ枯れるから食糧備蓄を進めねば云々と王の指令が出ていたはずの国で、卵料理しか作れない王妃が小麦粉やら特別な葡萄やらオレンジやら蜂蜜やらの高級食材を湯水のように使ってツマミ食い大好き侍女丸抱えで連日お菓子作りの研究だなんて、そのうち革命でも起こらなきゃマリーアントワネットが化けて出ましてよ。
そりゃあ、かつて自分が看護したことのある病弱美少年が、船を仕立ててエジプトにやって来られるくらい元気になったというのは純粋に嬉しいことだろうし、再会は楽しみだろうし(あやうく××されそうになったことなど記憶にないから幸せなものだね)、遠来の客を心尽くしの手作り料理でもてなししたいというキャロルの気持ちは、確かに美しいといえるだろう。これぞ乙女の純粋な温かさ、思いやりとでもいうような。そういう時代を超えて共感を勝ち得るだろう優しさは、今月表紙カラーのキャロルのイラストのふんわりとした雰囲気が端的に示していると思う。そういう意味では、作者が描き続けたいとこだわるテーマの訴求力は、ナナメ読者の私にだって及ぶ。
でもね。
どんなに姫さま、姫さまと周囲がその少女性を持ち上げ、年をとらないように描かれようが、キャロルは物語の現時点では責任ある一国の王妃なのだ。それなのに、エジプト王宮に帰ってくるとその部分が見事に描かれない(よしんば描かれても例の未来が読める姫さまスゲーぞパフォーマンスばかり)っていうのは、ジェームズボンドの上司すら女性になったこのご時勢に浮いていること甚だしい。そもそもキャロルがあの王宮でしてることって何?国務に勤しむ(?)夫君と過ごす時間より、賛美侍女連と遊んでいる時間のほうが断然長くないか(しかも姫サマはお呼びがかかるまで出て行かない)。王妃なのに早く世継ぎを生めとは一切言われず、毎日綺麗に着飾って、自分が好きなことだけして遊び暮らし、可愛いペットからは慕われ、皆から熱狂的に愛されて、悪口言ってくる人間は人格全てを蔑まれるので気にする必要は一切なく、たまに本で読んだ雑学をぽろっと口走れば神扱い。
これを女の夢と思えるかって……??
正直、ものすごく怖い(そらもーガクブルですとも)。『一将功成りて万骨枯る』という言葉があるけど、それでいうなら、『一姫幸を得て万骨枯る』とでもいうような、心が寒くなるような荒涼たる世界が私には見える。ワタシ自身がとっくの昔に魔の砂漠で野ざらし中なのデスカ?センパーイ(誰?)
いったい王家の、特にここ十年くらい執拗に繰り返し描かれているこの「キャロルただひとりが仰ぎ見られる世界」というものは、どういう未来を想定して描かれているんだろう。もっとはっきり言っていいなら、いったいどんな夢みる力がこの世界を生み出したのだろう?そしてまた、この夢は読者が生きていくのにどんな力を与えてくれようとしているのだろう?読者がキャロルに同化して夢想する先には、明るい道は見えるのだろうか?
そんなことをどうしても考えずにはいられない。そんなワタシは自分が所詮“万骨”の一人だという事実を、一瞬も忘れることはできない性分らしい。キャロルが体現する世界の愛が世界を救うと言うのなら、そこから切り捨てられるワタシはせめてあの世界がいかなる組成をもつものか知りたかった。こんなにハッキリ見えるのに、この物語のハートに私は触れられないのは何故なのか。
Quo vades, Domine ?
いやそれより、なぜ今ワタシはここにいるのだろう?
結局のところ、それだけが知りたくて今まで連載を読んできたんだろうか。


ギャートルズ@ネバ男の正体を知ってるのが誰でも知ったことか。

*1:(手描き文字効果音で)