豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

抱負敗れたり

職場のひと、大阪帰りのわたしをみるなり開口一番何といったか。

「あれ!ドレミノフ(仮)さん、髪がないッ!?」


いや、お待ち。
あたしゃハゲ好きだけど自前の髪はまだありますて。
某元事務次官と違ってふさふさとありますが。ええ、これを見てごらんッ!!

「えへ★旅先で衝動切りしてきました〜」
「なんなのそれ(笑)」

どうしてだれも「まぁ可哀想に。失恋でもしたの?」て訊いてくれないのだろう……


ま、それはともかく。
あの暑さにも頑張ったのに、ふと気が変わって旅先で髪をばっさりと切って帰った。
病院付き添い帰りに、ふら〜っと駅前商店街を歩いていたらムラムラとしてきたのである。とある一軒の美容室で「予約してないけどこれから髪切ってもらえますか〜」と飛び込みで聞いてみたら、「ええですよ」と快諾してくれたのでお願いしてみることにした。や○きたかじん似の美容師のおっちゃんは「ホンマにばっさり切るン?ボブでもええんとちゃう?」と何度も鏡の中の私に向かって確認してきたが、私の「中途半端な長さが嫌!」との決意が鉄板並みに固いのを知ると鏡の前で私の髪を何度も持ち上げてシルエット確認し、おしまいに諦めたように「ま〜ええんとちゃうかぁ?」とやる気になってくれた。
彼は何度も私の頭を撫で回してイメトレ(?)した挙句
「んでもし良かったらパーマかけてみませんか。このままやとなんかショーネンぽくなるで」
という。
それは困る。いまさらボーイッシュを標榜するような年でもない。
しかしサザエさん化はもっと困る。
「クルクルパーマはイヤですッ!」
「いや、そんなに強ぅはかけません。この毛先がな、ふわっとするくらいですよ」
「ふわくしゃてなかんじですか?」
「そうそうそんなかんじ」
てなわけで、マリー*1を目指しつつスベった風ショートカットな私の出来上がりとなる。
頭が軽くなってすごく楽チン。幸い彼は職人肌のなかなか上手な美容師さんだった。お値段も良心的で。
翌日また病院にいくと、一夜にして外見が激変してしまったものだから看護士さんたちに爆笑されてしまったが。
そして後日この話を家族にすると、よく飛び込みの美容室なんかで髪切るわと呆れられる。
もちろん私だって滅多にそんなことはしないさ。事実、ここ10年ぐらいずっと同じ美容室に通っているんだから。そこを見つけてきたのは私だが、そのうち家族までもが通いだし、しまいには友人まで通い始め、私の知らない間に情報網が出来上がっていたりする。
一日幸せになりたければ美容院へ行きなさいといったのは、どの女流作家だったか(宇野千代さんだっけ?)
ふと思い返すと、いきつけの美容院での慣れ親しんだ部分を、最近ちょっと重荷に思うようになってしまったもかもしれない。
私の友人は美容室での雑談というものが苦痛なので、よく知った美容師さんに「お任せ状態で爆睡」てのが一番安心だという。一方おしゃべりは好きの私は、初対面の第三者に『私』を仕立ててもらいたいという変な冒険心に駆られる悪癖があるらしい。まぁそのせいで手痛い失敗も幾度かしたけれど、忘れられない会話も沢山交わした。
あの美容師のおっちゃんがおずおずと、
「あのね……こういっちゃあなんだけど、あなたの頭は○○○○ね。アッ、でも気にしないで。日本人には多いのよ!?ボクの頭も生まれたときは金槌みたいやってん」とか身振り手ぶりつきで言い出したときなど、胸がキューンとしてしまったじゃないか。

*1:フランカ・ポテンテ。前夜見た「ボーン・アイデンティティ」に出てくる主人公の恋人。彼女は変装のため途中でショートカットにするのである。可愛かった。