豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 失われてゆくものに

遠き日、私は世界中の佳き物はここから出てくると信じていた愚かな子供で、この魔法の掌が世の常のものの如く、いずれ失われるものだと自覚したからといって、魔法を必要としなくなったわけではなく。
いやそれどころか、ますますもって希求する気持ち甚だしく、広げてみた己の掌の中は案の定空っぽであることに愕然となる。これはあなたが決めることよ。それはあなたの問題でしょう。こうしなければ、ああしなければ、ああなってこうなってあなたは不幸になるのよ!
そんなことはとっくにわかっているの。わたしが決めたことはわたしが責任を持つ。かつて私もそう自信満々で答えた。ところが、今、私が欲しいのはそんな問答無用にお綺麗な回答じゃない。
友は嘆く。世界に私を理解してくれる人はいないんじゃないかと思うと、すごく悲しくなったと。私がいるじゃないとは言えなかった。私はあなたじゃないから。よく知らないのだから。自分の事さえよくわからない。でもあなたの気持ちはわかる。
そう、そういう時には、たった一言。大丈夫よ、と手を握って言って欲しいだけなのかもしれない。つくづく甘ったれた子どもだよなあと思い知るのだ。

祖父の新彼岸の日に。