豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2008年10月号プリンセス連載分雑感

月刊 プリンセス 2008年 10月号 [雑誌]
【今月ネタバレあらすじ】
「女のごときファラオを惑わすナイルの姫とはどのような魔女か?」
紅海の東、シバ国を治める女王がエジプトへの香の輸出を差し止め、じりじりと介入を強めつつあるころ、エジプト王国は今日も平和であった。神官修行に飽きたネバメンは、だらけきった生活態度をペルトに批難される始末。しかし、そろそろ将軍になりてえと野望に燃えるネバメンは、儀式に欠かせない香不足に焦るカプター大神官の右往左往など眼中にない。自称猛勉強の王妃キャロルは、メンフィスが指揮をとる新都建設現場へ出かけ、若き王の語る遠大な構想と、現場の熱気に浮かされるかのように、王国と二人の明るい未来を思い描くのだった。
その頃、ヒッタイトでは王妃も乳母もイズミル王子の体調を気遣うあまり、婚約者の出現を告げられぬまま時が過ぎていた。何も知らずにハットウシャに滞在中のタミュリス王女の許にトラキアの父王から薬が届く。王女は勇んでイズミル王子の病室に出向き、それとなく遮ろうとしたムーラを手厳しく退けると、ヒッタイト王の意向を盾にとり、強圧的な態度で病室を自らの侍女たちで固めてしまった。王子の傍から追い出されたムーラは、王妃に知らせを走らせる。ひとり病室に踏み入ったタミュリス王女は、病臥するイズミル王子の傍らに膝まづき、冷たい指先にくちづけして囁く。

麗しき王子よ わが夫よ
わたくしが…心をこめて看護いたしましょうぞ


【今月のお言葉】
ハークラー河の水は涸れてインダス王国は滅びた
いまやあの地は飢餓と略奪の戦乱のなか
不吉なる言葉を吐き
太子を苦しめたナイルの姫よ
わたくしが太子の仇を……


*1

【定点観測録】

  1. イラスト集発売情報 ナシ
  2. 新刊情報 「王家の紋章」(文庫)15巻発売 10/10
  3. 来月から2ヶ月休載。連載開始は12月6日の2009年新年号より。
  4. 来月号付録は王家イラスト付きマウスパッド。


シバの女王の嫌がらせの動機って、「不吉な予言に傷ついたシンドゥ太子に代わってわたくしが魔女に天誅をくれててやるわ(怒)!」だったとは。。。。
ていうか、女王は太子の何なのさ。そんなに庇護欲そそりますかね~あの太子様が?魔性の女に萌えながら不吉予言に逆ギレして退場&恨み垂れ流しつつ逃亡、という世にも恥ずかしき醜態を晒した太子の置き土産がまだこんなところにあるとは、太子もなかなかやりおる。私はシバの女王は単に年下の美少年が好みなんだろうと思ってたですよ。絶世の美少年(?)と名高いエジプトのファラオが、魔性の女に誑かされているなんて許せない!誑かすのはワタクシよと鼻息荒いあまり、エジプトが喉から手が出るほど欲しがる香木の出荷を停止して気を引いてみようかしらウフフ的一大バクチに出てしまったんであろうと。ま、女王の真意がいずれにあるにせよ、「敵討ち」だの大義名分を振りかざし出し、大事なお得意様を怒らせた後のプランBが見物だな。

んで、魔女/我がアッシリアの宿敵と、おどろおどろしい修飾語がつく今月キャロルさんですが、やってることは相変わらず無邪気そのもの。「この新都にメンフィスはわたしの宮殿も作ってくれるって すごいわね すごいわね」と終始感激しっぱなしで、メロメロなご夫君とラブラブなのでありました。工事シーンは気のせいか吹き出しにも漢字が多いよ?要するにメンフィス王もお仕事がんばっているのですね。すごいですね。わかります。

さてさて、眠り姫ならぬ、眠り王子を取り巻く女たちの暗闘はいよいよ緊迫して参った模様。私はいわゆる「後宮もの」、君主の寵をめぐる女のどろどろバトル話っていい加減うんざりするので好きではないが、最近のヒッタイト後宮の女たちの動向には興味津々だ。何しろ今月ではムーラ様が横面張られておるではないかーーー!
その昔、「おどき、ナフテラ!」(アイシス様ごっこ)をやってたのを思い出しました。やーさすが尚武の国の姫君ですなぁ…と感心している場合ではない。
楽しいけど、虚しいのはなぜなのか考えてみた。
アテネ貴族の娘程度では鼻にもひっかけなかったムーラがタミュリス王女にたじたじなのも、彼女が同盟国の王女だからで、別に人徳に畏れ入ったわけではない。キャロルとは対照的な、権高で乙女チックなタミュリス姫はなかなか魅力的だが、でもその強気の根拠は、恋する娘の大胆さというより、ヒッタイト王の意向が我が身にあると心得ているからこその傲岸不遜である。そこに在りし日のミタムン王女やカーフラ王女、あるいはアイシスに似た甘えを嗅ぎつけてしまう私は、タミュリス姫にも期待することができない。いずれ王女も、「夫」が別の女を愛していると知るときが来るだろうけれど、そのとき彼女はどうするのだろう。ヒッタイト王の意向や父王の勢威を振りかざして私を愛せと迫るのだろうか。眠れる王子の手を取るシーンは、先に待ち受ける悲劇を感じさせて物悲しく美しいだけに、さすがに王女が不憫であった。


余談。楽しかったコマ。




萌えるムーラ殿(錯覚なのだが)。