豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 2009年3月号月刊プリンセス 連載分雑感

月刊 プリンセス 2009年 03月号 [雑誌]
一隅を照らす愛の灯火、日本へ…世界へ広げたい!!
【今月のネタバレあらすじ】
シバの女王からの招待を受諾したメンフィスの旅立ち前夜、キャロルはいいしれぬ不安に苛まれる。早く帰国をと懇願する愛妃に、メンフィスは愛おしさを隠せない。美しい女王の存在がキャロルの心に一抹の影を落としていたが、エジプトの繁栄を一途に願うメンフィスの心を察し、王妃としての自覚を自らに課そうと努める。二人は再会の誓いを繰り返し、夜は更けてゆく。
翌朝、随行員とともに王都を出発したメンフィスは、見送りの王妃を伴い紅海沿岸の港コセイルを目指した。一行はワディ・ハンママートを駆け抜け、何事もなくコセイルの砦に到着。王妃、王弟らに見送られ、メンフィスの船は紅海を南に向かって出帆した。

続きは、2ヶ月休んで6月号で。


【今月のお言葉】
「ミヌーエ!シバ王国の航海は幾日であろう」
「は シバの国へは初めての航海でありますが……わが軍船ならばそうはかからぬと思いまする 王」
*1

【今月定点観測】
1.イラスト集情報⇒依然見当たらず。

2.王家グッズ情報⇒来月、再来月号姫誌連続購入で全員サービス「王家切手シート」
  切手シート、ほほぅ。手紙好きな私にはなかなか食指をそそられるブツである。一瞬、以前発売されていた(私も買った)Gダム切手みたいなシート?なのかと思ったが、まさか一般発売されるわけではないだろうから、「オリジナル切手作成サービス」とやらの切手のほうだろう(著作権あるし)。余談だが、来月「週刊少年漫画50周年I」なる記念切手が発売されるらしい。タイガーマスク柄切手とか、ほ・・・欲しい。
それはともかく、オリジナル切手とはいえ、あれは正確には切手じゃないでしょう。切手+フォトフレーム切手で貼らないと手紙には使えない代物というあたりが巧妙な罠。私は切手は好きでよく買うが収集癖まではない。むしろ好きな柄の切手はどんどん貼って出したい人間なので、そのうちどなたか宛の手紙に王家キャラの切手が貼ってあったりするかもしれませんからお覚悟召され。うっふっふ。


3.雑感
王家名物、シーツぎりぎりまで波ザザザでフェードアウト朝チュン展開を経てファラオは無事シバ王国へ旅立たれた。コプトスは軽くスルー。
直前になって「私も行きたい!ひとりにしないで」とか泣きつかれて妃愛しさのあまり二人で愛の船出(謎)〜とかになるんじゃなかろうかと、1・5抹くらいの不安にかられていたが、まずまず幸先のよい別れではないか。

何度も何度も書いてしまうが、私は「メンフィスとキャロルが何らかの事情で引き裂かれ、両者頭を振り絞って苦難に立ち向かい、危機を乗り越えてめでたく再会する」ワンパターン展開が見たいだけの読者なので、3頭身キャロルが布巾被って卵茹でたり、んんんと鼻染めたメンフィスが頭ボリボリ掻いているような、幸せな日常エピソードにしてもそれはどーかと思うようなぬるい展開は心底勘弁してほしいのである。私は元々メンフィスとキャロルのラブラブシーンにもあまりトキメキというものを覚えない読者だったが、旅立ち前夜の二人の甘い(らしい)やり取りに全く動じられないというのも可愛げがないな。
月に向かってガッツポーズなファラオの是非はともかく、見開き一杯使ったラブシーンに漂う清楚なエロスは細川マンガの真骨頂というべきだろう。メンフィスの肩衣をきゅっと握りしめたキャロルの手指の細さとか。しかし、いくら雰囲気桃色中だからって、花柄トーンで飾るのは。。。そもそもその花柄、キャロルのドレスの裾模様でも使われていたのと同じだろう。トーン貼るなとか言いたいわけじゃない。第一、私はスクリーントーンまで貼るようなマンガを描いたことがないので判らないのだが、トーンにしても他の柄はないのかなぁ、あの変テコリンなクリスタルチックなキラキラ☆トーンとか、いつも画面から浮いて見える。デコの方向が違う。はっきり言ってしまうと、使えば使うほど安っぽい感じがするのが残念なのだ。手描きの蓮の花びらを散らすので十分だと思うんだけど。王家なんだし。

それはともかく、50巻を越えたこのマンガで、初めてメンフィスが「キャロル救出以外の目的で」外国に行くという展開で動き始めたのは興味深い。
エジプトの交易外交、というとプント遠征が有名だが、今度メンフィスが赴くのはシバ王国。インダス王太子の敵討ちせんと手ぐすねひいて待ち構える女王が、メンフィスにメロメロになって帰さないわと監禁したりするのだろうか。キャロルVSネバメンは、新手の対立要因がなければいまいち盛り上がらないような気がするが、さてそこで噴くのがサントリーニ島。火山灰に降られ陽は照らないわの大災害、国中麻のように乱れ、女神の娘と愛された王妃の威光は地に堕ち、王は紅海の果てで死んだと見なした臣下は王弟に靡き、王妃と対立する話なら熱烈読みたいが。
大国然とした王家のエジプト国は諸外国から狙われることは度々あっても、そうでなければ常に自己完結していたと思う。作物は豊かに実り、国王夫妻の人気は高く、国内に敵はいない。だから私は外へ外へと話を広げて欲しいとずっと願ってきた。今回、懸命にキャロルを慰めようとしているメンフィスは、要するに根っからの善人で惚れた女に一途な可愛げのあるいい性格の人間だと思うし(陰謀渦巻く世界の王としては大いに不利だろうが)、王妃の自覚が薄いキャロルもやっと頑張る気になったし、二人には幸せになって欲しいという気持ちは間違いなくある。
別に好んで幸せが壊れる様が見たいわけではないが、どちらかというと、幸せは壊れない、という定説が自明の理で語られるのがイヤなのだ。幸せなんて、後からあの時なんて幸せだったんだろう、と思う瞬間にしか存在しないんじゃなかろうか。私が見たいのは、初めから約束された幸せとか、薄暗いものが排除された小奇麗な明るさとか、自己憐憫に浸るための不幸ではなく、もっと別の世界。打ち負かされ続けても揺るがない何か。それを愛というのかどうか。私は今もって<萌え>がよくわからない。恋というものも、実はよくわかっていない。美しくなくても心に残る何かを探して王家を読んでいる(そして時に誤読するのね)。

*1:そんなアバウトな計算で行く気か@王と将軍