豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

トリノ・エジプト展

しとしと降りの土曜日、ツゥト王に会うべく上野の東京都美術館へ行って来た。

こんな雨だから、人出もいつもの休日ほどではあるまいと淡い期待をしていたが、やはりというか古代エジプト関連展示は人気があるらしく、館内はけっこうな混雑ぶり。
やっぱり皆さん、この「門外不出の白いツタンカーメン」が見たいのね?

雨模様のせいで心なしか雰囲気が暗い。なんたってポルターの半分は棺桶写真。
朝、電話をくれた友人ネフェル(仮)ちゃんを上野に誘ってみたところ
「エジプトねぇ。何が来てるの?」
「ん〜そうね。ミイラとか棺桶とか・・・真っ白い神様の像とか」
「遠慮するわ」

さよか。美少年王の像が来てるよとでも言えばよかったか。
しかしそもそも東京都美術館(での展示)というのが、私はあまり好きではない。
展示品保護上仕方がないのだろうが、いつも展示場内がとても暗い。そんな暗い場所で一生懸命展示品を見ようと目を凝らすから頭痛がしてくるし、天井も低いので息苦しい気分になるし、地下1階から3階まで階段移動だし(エレベーターはあるが、動線上不便な位置)、休憩椅子も少ないし(ぶつぶつ)。
でも、トリノ・エジプト博物館のコレクションは是非拝みたかったし、それにこの美術館内ミュージアムショップには、こういう展覧会中の限定グッズとして、海外輸入の掘り出しものが出ていたりするので油断ならないのだ。
チケットは、事前にネット決済した「山岸凉子 愛蔵版チケット」なるもの。王家イラスト付き海のエジプト展チケットは買い逃したが、所詮好き好きゆうたところで財布の紐はめったなことでは緩まないあるよ。

山岸凉子 愛蔵版チケットと購入した図録。

図録の装丁はスタイリッシュだが、中身は会場解説文に毛が生えた程度で、「よみがえる黄金文明展」級の読み応えはないなぁ。グッズコーナーにエジプト関連書籍が並べられ(本屋であまり見かけない弥呂久の書籍ラインナップが充実している)イタリア製スカーフとか、いろいろ。あとは、トリノ名物チョコレート店のブースがあったので、ばら売りでいくつかチョコを買った。併設ミュージアムショップにルーブル美術館製のかなり精巧な古代エジプト彫像レプリカとか、アモシス王カルトゥーシュ型小物入れなどというものがが売りに出されていて激しく心揺さぶられたが、予算がなぁ。。。

って、肝心展示の感想を書かねば。
鏡を使った展示が印象的だった彫像ギャラリーの幻想空間、そして目玉の「アメン神とツタンカーメン王の像」はさすがに美しく、人ごみインフルは怖いが一見の価値はある。
テーマカラーを決めた、空間演出がステキであった。本場はどんなに綺麗だろう。
大物小物いろいろ来ていたが、私はセティ1世陛下の横顔浮き彫りが好き。美男子な雰囲気が。

あとは真っ白いあの像。
階段途中からあれを見下ろしたとき、私はふっと奇妙な感慨に襲われた。
あれはもともとどこに据えられていたものなんだろうか。
ホルエムへブの名前が刻まれた、ツタンカーメンの顔をした神よ。
捧げられた時、あなたの顔に人々は誰の面影を見たのだろう。
私はツタンカーメンの第二の棺の顔立ちによく似ている気がしたが、さすればあの顔はセメンクカラーの面影も伝えているのかもしれない。
御身はかつて神と崇められしを、ナイルのほとりから連れ出され地中海を渡りイタリア北部までガタガタ揺られ、そしてまた太平洋を渡って極東のこんなとこに引き据えられ、イアル野への道も知らぬものたちの慰みものとは。御身より、むしろ入り口にあった、王の墓作り職人の使っていた箒のほうが身近な国の。

トリノ・エジプト展はほぼ1年かけて日本5都市(東京、仙台、福岡、神戸、静岡)を巡回し、その間、本家美術館では改装が進められるとか。ご苦労なことです。