豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

leave her alone.

少しショックなことがあったので、書き残しておく。

今日取引先であれこれ打ち合わせしていたら、相手方担当者から約2年前の案件を持ち出されて、現況を確認したいという話になった。
はっきりいってそれは諸々の事情からポシャった案件だったのだが、なぜ今頃になってその話を持ち出すのかと、内心不思議に思いながら私は当たり障りない説明を加え、そろそろ引き上げようかとしていたとき、相手方担当者がぽろっと口走った事情に一瞬頭が真っ白になった。

「実は前任者が亡くなったドサクサで確認が漏れておりました」と。


初耳だった。

前任者(仮にYさんとするが)と直接やりとりしていたのは私だったので、絶句してしまった。
確かにこの案件の進行途中で担当者交代になった時は突然で驚いたが、Yさんは引継ぎをきちんとしてくれており、後任も真面目な良い方だったので仕事上困ることはあまりなかった。
当時、交代前にYさんから私に電話があって、別の案件の要所を取りまとめる打ち合わせをしてくれたことがあり、後で思い返して、あれも後任者が困らないようにしてくれていたのだな、と感謝したくらいだった。
私はYさんが退職されたと聞いても、そういえば何だか最近綺麗になってたしな~結婚でもされるのかなと思っていたくらいだったので、まぁ、あの(条件のよさそうな)大会社でも転職する人はするわな、くらいで日々の雑務に忙殺されていた。
当時のYさんの事情や取引先の内情など、部外者には知る由もない。


Yさんとは仕事上たまにしか接点がなかったが、クールというか、無駄な笑顔を振りまかず、淡々と仕事をこなすタイプだったと思う。
ある時、そそっかしい私が、慌ててアホな質問をしてしまったにもかかわらず、Yさんは全く動じず「お待ちください、確認します」と返してくれた態度に私は好感を持っていた。

おそらく30代前半くらいのまだ若い女性だっただけに、彼女の訃報を聞いてなんとも言えず悲しく、彼女の落ち着いたアルトの声を思い返して胸が痛む。
あの場では既に退職された方の個人的事情を根ほり葉ほり尋ねることもできず(する気もないが)、亡くなったなんて…と呆然としてしまった。
そして職場に戻っても、私は誰にもYさんのことを話せなかった。
最初は、私の他にもYさんと仕事をしたことのある同僚には話しておくべきではないかと思ったのだが、結局やめた。
おそらく社内でゴシップ的に扱われることが目に見えており、誰かに話せば一斉に広まり、詮索好きな人がさらに取引先から事情を探り出そうとするんじゃないかとまで疑い、それが耐え難かった。
我ながら子供っぽい動機だが、お願いだからそっとしておいてあげて、と思えてならない。