14歳の夢
ある日、実家から郵便物が転送されてきたので何気なく開封したとたん、私は仰け反った。
中に入っていたのは、原稿用紙がぺらりと一枚、そして作文集。
題「私へ」
●●才の私、こんにちは。あなたは今何をしていますか?
はい、いま餃子焼いてるわよ。
すっかり忘れていたのだが、何かの記念事業で14歳の時に「私の夢」という題で作文を書く課題が出て、それらはまとめてタイムカプセルに埋められた。
今年になって発掘されて、それぞれ書き手の住所に送られてきたようだ。
夢、というテーマが与えられているにもかかわらず、14歳の私が綴っている内容は単なる25年後の自分あての軽い挨拶でしかなく、将来の夢には言及せず(といって、一番なりたくないものはしっかり書いてある)お茶を濁している。そのくせ「思い出してくれましたか?」とか妙に上から目線な口調で書かれていて、つい笑ってしまった。
中二だから仕方がないのかしらん。
文集に収められている同級生たちの「夢」も読んでみたところ、皆幼い夢なりに生き生きと語っていて、なかには浮世離れしたもの、生真面目に書きすぎているもの等色々ある。
読んでいると、私が知っている「現在」と交差するもの、そうでないもの、感慨深い。
青春って眩しいなぁ。
末尾の私の捨て台詞めいた一言がまた痛かった。
「まぁ、何でもあなたが満足しているというなら嬉しい」
ときたもんだ。
まぁ、14歳のアナタには想像もできなかった道をたどってきましたが、私はけっこう満足しておりますことよ。