豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

ミュージカル 王家の紋章 雑感

注:キモい長文です。

 

 

ミュージカル「王家の紋章」の千穐楽を観てきました。(27日)

私は千穐楽というもの自体初めてでした。キャストの皆さん歌うよ歌う気持ち良さそう。3回目にしてはっきりわかるほど、同じキャストでも明らかにこの日は気合いの入り方が違っていて、千穐楽って特別なのねと納得の盛り上がり。

あっと言う間に真夏の古代エジプトの夢は幕を下ろし、最後のキャスト挨拶まで楽しみ、ネットの隅っこで原作への捻れた愛を垂れ流してきた一王家ファンとしても、特に感慨深く観終わりました。

キャロルとイズミル王子がWキャストだったので、両方見るのも面白かろうと2パターンのチケットを取り、挙句、アイシス様の歌をも一度聴きたくて3回めも。ええ、財布に寒風が吹きまくりですヨッ!今まで、Wキャストのミュージカル観ても全部ワンパターンで済ませていたのに、こんな所まで王家の呪いが。

 

新妻聖子キャロル・宮野真守イズミル

新妻聖子キャロル・平方元基イズミル

宮澤佐江キャロル・平方元基イズミル、の3パターンで観ました。

余裕があれば、残りの宮澤佐江キャロル・宮野真守イズミルまで制覇したかった。(東宝の思う壺ですな)

 

私が観たどの日も、客席はほぼ女性ばかりでした。個別キャストのファン、ミュージカルファン、原作ファン、きっと色々いらっしゃるでしょう。いつも一人観劇だったので、周りをぼやっと観察しつつ、では私は?と胸に問えば、やはり原作ファンなのだと答えます。

 

王家の紋章の世界(それも最も魅力的な初期の物語)が、目の前に顕現され、あのキャラたちが生きて泣いて笑って涙する様を見たくて、安くはないチケットを買い、僅かな自分の時間をやりくりして劇場に足を運んだ私は十分満足したのでした。勿論、細かいところでぐちゃぐちゃ言いたいところはあれこれありますが、東宝ミュージカル化は正解だったと思います。ハリウッドで映画化するよりも、金髪カツラの日本人キャストがアメリカ娘のキャロルを演じるほうがあの世界観に合う。

原作ファンでミュージカルに抵抗ある方にも、まずは騙されたと思って一度ご覧下さいませい、と個人的にはお勧めしたい。

確かに、サソリに刺されて瀕死のファラオを囲むミヌーエ将軍やウナスがすごい形相で叫んでいる前で一人、手を揉み絞りながら歌い上げるキャロルなんて、冷静に考えると、早く手当を!歌ってる場合かー!てな場面なのですが、そこはミュージカルですから慣れてとしか。それに「王家」ですから、あまり違和感ない不思議。

 

長くなりそうなので、前記事の音楽がらみのあれこれ以外は、箇条書きにて。

 

【雑感羅列】

  • キャラのビジュアルが、原作にほぼ忠実。キャロルやアイシスの衣装は、何巻のあのシーンのあれよね!とにやけてしまう再現度。ルカの一張羅衣装の波波模様とか、禁煙ファッショな世相に負けず消防の許可まで取ってタバコ吹かすライアン兄さんの姿が涙で霞みます。
  • キャロル役の新妻聖子さんが、濃い王家ファンというアメン・ラー神の采配としか思えないキャスティングの妙。キャロルのウザ可愛さ、初期の健気さ、凛とした強さ見事体現していました。
  • 宮澤佐江ちゃんも、予想よりずっとキャロルでした。歌い方、喋り方が聖子さんを意識しすぎな感がありましたが、熟練の聖子さんと違うところが却って印象的。キラキラ眩しい若さを放つ彼女の身体表現というのかな、今時の女の子の声、長く細い腕でガンガン押す早すぎる心臓マッサージ、メンフィスに跪くときのガバッ、イズミルの刃の前に咄嗟に身を投げ出す感じ、自然体でよいな。舞台挨拶も健気で可愛いなとほだされたり(笑)
  • 今回イズミルは、妹の復讐に燃える敵国の手強く賢い冷静沈着王子キャラを貫き、後年のヘタレポエマー臭皆無。白状しましょう。私は王家歴30年にして、たぶん初めてイズミルのカッコよさが腑に落ちました。2.5次元恐るべし!宮野イズミルは、異様な吸引力があり目が離せない、平方イズミルはノーブルかつパワフルでセクシー。白い衣装の長い袖のドレープが、細川センセの描くまんま。衣装さんの素晴らしい仕事ぷりに感動です。
  • ルカがちゃんと有能かつダーク。そして美少年。イズミル王子の従者としても絵になる。テーベの街に繰り出すウキウキダンスシーン、キャロルの後ろで仏頂面でちゃんとウキウキダンスする君が好き。
  • 対するウナスがちゃんと純朴かつ頼りになる警護役の好青年(キャストの木暮真一郎さんは背も高く、長身のウナス萌〜。名前間違え失礼しました。)
  • セチのキレッキレッのダンス。メンフィスのソロのバックで目が釘付けになるセチダンス!あれは、青春の輝きとか、無垢なる献身の象徴なのだろうか。死に際のいつまでも君のそばに、に泣く。
  • ミヌーエ将軍の重厚な声、歌、佇まいすべてツボ。嫁にしてーー!貴方がアイシスに平手打ちされるシーンを見たくて通ったと言っても過言ではない。ふふ。
  • アイシス様はアイシス様そのものでした。濱田さんが今回アイシスと自分がリンクしてキツかったというのも無理のない、完璧なるアイシスが存在していました。アイシスがキャロルを古代に連れさる呪いの歌の凄まじい迫力には、脳に染み込み、おかげで、ママチャリをぶっとばしながら、王家の呪いをその身に受けよ〜〜呪われてあれ永遠に〜〜とか鼻歌してますよ。
  • イムホテップもイムホテップでした。そして、やっぱり謎の手振りが山口さんでした。
  • ここまで読んで、あれ、メンフィスは?と思われたあなたは鋭い。今回、私が一番最後まで掴めなかったのが実はメンフィス。浦井メンフィスがというより、脚色のせいと思われ。ビジュアルは文句なしにメンフィスなので、幕が上がり、一人暗闇に背を向けた浦井メンフィスが振り返り腕を差し上げるだけで、胸が轟きます。ただ、原作の数あるエピソードが削られているせいで、メンフィスのキャラがぼやけてしまった感あり(あくまで、私のイメージのファラオが、という話です←痛)。わかりやすい「俺様キャラ」に矮小化して欲しくないのですよ。
  • 即位を控えたファラオがキャロルと出会う、神話的な夜明けのナイルのほとりのシーンがカットされ、単に工事現場で目をつけるエロ貴族並になったのに涙。直前すれ違いスルーのみ?
  •  墓泥棒を自ら処刑したのは、暴かれたのが特に彼の父王の墓だったからという背景説明なし。殺人狂か。
  • キャロルを砂漠の苦役に追いやりながら、内心後悔しまくり、意を決して迎えに来るシーンがない。当然、構わぬ×3の求愛シーンもない。私の腕の中で笑え、のシーンもない。ナフテラの「気にかけておいでなのです」だけで語らせる。
  • ルカの登場が早まり、墓泥棒処刑シーンに無理やり組み込んだため、キャロルがルカをかばって命を賭けるシーンの緊張感が薄れ、単なる痴話喧嘩で女に怪我させる前段みたいな話になっている。
  • 「お前を失ったら私も死ぬ」なメンフィスに軽く失望。心乱れて国事に身が入らぬとは、おろかな!と自らを鞭打っても、死ぬとは露も考えぬのがファラオと思うが。昨今の王家の王族方が、王族の義務より純愛に転び散々嘆かれているではないか(ポエマー王子とか)
  • あと、風呂ザバーっがない!馬ひけー!もない。寂しい。
  • しかし、最終日に思ったのは、敵役イズミルの魅力が冷静沈着な佇まいににじませる豪胆さ、熱さなのだとしたら、メンフィスのそれは傲慢で強引な振る舞いから覗かせる繊細さなのかなと。浦井メンフィスのソロナンバーでは、Something waiting for me (今日の私に)が一番好きです。
  • その他。
  • どう見てもカプター大神官みたいな坊主がいるが、ほ欲しい、の一言もない。
  • 正直、新王祝賀の建造物現場に奴隷が6人しかいないのはどうかと思う。
  • 即位したメンフィスが立つ階段の貧相な木製手すりが気になってたまらない。
  • 背景の山越しにナイル河の遠景。ナイル河のほとりの都の開放感がない。息苦しくないか。
  • ナイルに落ちてタイムスリップのシーン、河の演出がイマイチきれいじゃない。
  • 戦のシーン、剣舞がバラバラなのはああいう振り付けなの?

 

と、散々グダグダ書きましたが、やっぱり私はこの原作が好きなんだよなと笑ってしまうのでした。

 

おしまい(照)

 

新妻聖子さんの爆笑挨拶もお聴きあれ。