2005年7月号プリンセス連載分雑感

●今月のネタバレあらすじ
思わぬところで憎い恋敵キャロルの姿を見出し、殺せと部下に命じる女王アイシス。重病のキャロルの上に容赦ない刃が降り注ぎ、ハサンとカレブの必死の防戦も空しくあわや――と思われたところに、ラガシュ王が通りかかり、バビロンの都にいるはずの王妃がなぜここに要るのかと問い質し始める。ラガシュ王からキャロルを隠そうとアイシスがその場を言い繕っている間に、ハサンたちはキャロルを連れて逃亡。気づいたアイシスが追っ手を差し向けようとするが、その場に倒れてしまう。アイシスの変調を妊娠と見抜いたアリの言に、ラガシュ王は狂喜。山火事の炎も間近に迫り、危険と判断した王はアイシスを連れ、直ちに帰国の途につくのだった。一方、命からがら難を逃れたハサンたちの前に、キャロルの正体を知った奴隷番ブズルが追いすがる。ブズルにキャロルを奪われそうになったとき、どこからともなく飛来した矢がブズルの胸を貫いた。「間に…合ったか…」その声に振り返ったハサン、ヒッタイトの王子イズミルの姿を見出す…

――以下、8月号に続く

●今月のおコトバ
コミックス「王家の紋章」50巻の発売準備をしていま〜す。販売予定は８月です!!待っていてね！（電話をいただいた王族の皆さん　ありがとう）。*1

●つらつらと。
今月の目玉はやはり
追悼：大商人バザルの奴隷番ブズル氏＠アナタの筋の通った職業倫理は忘れません
または
祝：５０巻発売決定＠記念グッズが出ると嬉しい
いや、やっぱり
祝：アイシス女王御懐妊だろうなぁ・・・

連載でいうと去年か、一昨年あたりから、侍女のアリが「お加減がすぐれませんのに〜」を連発してたので、アイシス妊娠ネタがそのうち来るだろうと思っていたが、やっと来た。読者がとっくに忘れたことにやってくるのが王家時間というやつである。アイシス妊娠ネタを持ってくるという事は、細川センセもグチャグチャになってるアイシスの着地点を何らかの形で提示するおつもりなんだろう（例えそれが１０年後になったとしても）。アイシスは自分が妊娠したことに泣くほどショック受けていたが、私はアイシスが恨みつらみをグダグダ並べるだけのバカで下品な女になってしまったのが無性に寂しい。このままいけば、取ってつけたように弟夫婦と仲直りするアイシスとか、取ってつけたように母性に開眼するアイシスとかありそうなのが怖い。あってもいいけど、そんなアイシスを読まされた日には単行本を壁に叩きつけちゃうわ。今月号にしても、なんで恨み骨髄のキャロルを部下に殺させようとするかな。ミタムンを焼き殺した時みたいに、最後のトドメは自分でするほうがアイシスらしいのになぁ…と鬼畜な事を考えたことはナイショである。
キャロルも意識モーローとしているので、僅かに懐剣で抵抗はしてみるものの、アイシスの怒りに怯えがち。かと思えば、いきなりドラマチックに我が身の受難続きを嘆き始めたり。おぃおぃおぃである。泣くよりアイシスになんか言うことあるでしょ〜キャロル。
おまいら、いっぺんガチで喧嘩してみなよ、とか思っちゃうのもナイショである。

思うに、最近のアイシスはヘンなところで女臭く、ある意味彼女の長所だった潔さがなくなってしまった。
万事において、何も知らず、何も知ろうとせず。
今のアイシスの考えることといえば、自分の部下が、あるいはどこかの誰かがキャロルを抹殺するとかの奇蹟が起こり、突然自分が幼い頃から切望していた通りにメンフィスから求愛される、というどう考えても寒々しい「空想」ばかり。いや、はっきり言ってそれはもう「妄想」に近い「妄執」である。そこには、実現可能な何らかの根拠も、現実化させるための彼女なりの計画も、現実化させようという彼女の意思すらありはしない。ついでにそこにはメンフィスの性格を考慮するということも全くない。アイシスの言ってる事は、「.........だったらイイなぁ〜」という一種の「夢想」であり、お正月に初詣に行って「今年は宝くじ当りますように♪」と願ってしまう浅ましいワタシと大して変わらんのだ。だからいつまでも当らない宝くじを買い続けて夢を見てしまうのよ、他力本願のせいで痛い目を見るのよ、そんな自分にイライラするのよ（段々ポイントがずれてきたな…）

そういうわけだから、きっちり夢見るヨメを捕まえとけよ、ラガシュ王。
今月号は展開が展開だけに、なんだか読後感がいつもりモヤモヤしている。

しかも、やっぱり夢見る王子がラストで登場したか。
何となく、アイシスからキャロルを助けるのがイズミル王子で、その時、アイシスがミタムンを殺したことを（やっと）知る―――なんて展開を想像してたのだが、また伏線がスルーされてしまった。いいけどね、どうせ王子は妹がいたことすら覚えてなさそうだから。王子が例によって、身動き取れない女相手に「そなたは眠っているほうが思い通りになって良い」とか激痛い事を言い出したら、ネタマンガとして笑い飛ばす。

*1:作者in柱コメント