豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2005年9月号プリンセス連載分雑感


【今月ネタバレあらすじ】
アルゴン王が放った炬火によって巻き起こった山火事は、非常な勢いで深夜のユーフラテス河畔を嘗め尽くすそうとしていた。洞窟に避難したイズミル王子は、キャロルの容態が芳しくないことに焦りながらも、やっとめぐりあえた喜びのあまり、心の昂るがまま彼女に、かつてトロイの神殿で二人は婚儀を挙げたことを告げる。記憶にないキャロルは動揺を隠せず、必死に否定するが王子は意に介す様子もない。同時に、キャロルは王子に同行してきた老将軍ハザスから、かつて王子がオロンテスの森で彼女をわざと逃がしたことを聞かされ驚くのだった。一方、火勢を逃れユーフラテス河中を行軍するメンフィス王は、風上にまわるべく上流を目指していた。その頃、バザル屋敷を目指し追ってきたヒッタイトのケツシ将軍が河畔に到着していた。遠目に大火事を確認して驚く将軍。急ぎ駆け出した将軍の馬蹄にフェネック(パピル)が蹴られ、大怪我を負う…。

⇒以下、10月号に続く。


【今月のお言葉】
「姫君には王子こそふさわしく 王子には姫君こそがふさわしい」
*1

【今月のだらだら】
これ下さい(やや目線下向き)…と、「プリンセス」をレジに差し出すのはいつまでたっても慣れることができない。今月プリンセスは「王家の紋章」が表紙だった。最近、登場頻度が増えてます。確かに看板作品の一つではあるのだけれど(あとは「エロイカより愛をこめて」かな)、メンフィスがいよいよ美少女めいてきて、若返ってるのがちょっと不安。お妃と並ぶとまるで姉妹ってかんじだ。秋田書店公式サイトの新刊情報によると、文庫本9巻が10月7日に発売予定になっている。文庫発刊ペースがやや上がったか?今月から始まった図書カードプレゼントへの応募ハガキも今週中に投函予定。近年、ワタシは「読者」というより、単なる「コレクター」に堕している気がするなあ。最近では、細川センセの表紙にひかれて古い作品集まで手を出しまったことだし。「愛の泉」(全5巻 昭和53-54年連載)も文庫リバイバルしてくれないものか。


●「王家の紋章」が雑誌表紙を飾った号リスト
1985年10月号→2000年11月号→2004年10月号2005年1月号2005年9月号(現在)
8月16日発売の「王家の紋章」50巻の表紙はこれ。
王家の紋章 50 (50)
今のところ買う予定なし。
祝!50巻より、祝!完結といきたいものである。





このところずっと巻頭カラーがついているが、なかでも今月の1枚は久々にウキウキしたほど綺麗だ♪
枠の蓮花と微笑む少女の雰囲気がアールヌーヴォー調である。装身具の類も手が込んでいてステキだ(ショッキングピンク×ラピスラズリブルーの組み合わせだけは好きじゃないけど)。

しかし、嬉しいのはこのカラー表紙のみ。
今月ばかりは本気でイズミル王子に鳥肌立ち。冗談ではなく本当に「ギャッ!」と叫んで雑誌を取り落としてしまった。頬寄せるコマなんかキモすぎて正視に耐えない。あ〜サブい怖い。感想書く気も沸かなかったのでズルズルと先送りにして今日に至った次第。

こんなに王子がキモいのは、花柄トーンの使い方があまりにもベタ(人物と吹きだしの周りに散らすだけ)なせいかと思ったが、それを差し置いても、王子はいよいよ頭に花が咲いてる人みたいじゃないか?彼を評して比類ないというのは正しい。こういう王位継承者がゴロゴロしてたら王国は5年と持つまいよ。なまじクールビューティ風な外見を取り戻してきているのが祟ったのか、王子の切なげな表情と、逝っちゃってるセリフの数々と、鼻に引かれた大量斜線と、腕に抱えた瀕死キャロルの思いっきり嫌そうな絵のギャップときたら、物凄いものがある。あんまりあなたの鼻が赤いので、修正テープを貼っちゃったぞ王子サマ(「チャイナタウン」のジャック・ニコルソン風に♪)。王子がキャロルに求愛のコトバを囁けば囁くほどキャロルはパニックに陥り、病状がさらに悪化してゆくのである…。

あ〜のぅ〜〜これはギャグと解して宜しいんでしょうか?

と、ここでどこからか声がする(危ないぞ)。

「お前は王子に何を期待してるのかね?」

……えへ(照)

王家の悪役には、私の趣味路線で期待しちゃダメなのだ。というか、私がイズミル王子をいつのまにか単なる悪役だと思わなくなってた、ということか。悪役好きの私としては王子には巨悪として生きてもらいたかったのだが、あれじゃ虚悪としか呼べぬ。取り巻きも王子の希望を如何に叶えるかに汲々とする律儀な人間ばかりで、アホらしくて見ていられない(それについてはエジプトもどこの国も事情は似たようなものだが)。1人だけならともかく、全員が王子を労わり優しくしてやりすぎ。お前らが主君の聞きたい言葉だけを聞かせてるから、王子がああなるのだ。行くあてのない妊婦を野獣がうろつく森のなかに一人おっぽり出した主君の行動を、それも深いおもいやりとあふれる情熱ゆえなどと言い出すあたり、ホント救いようがないと思う。じいさんや、無邪気もいい加減にしたほうがいいと思うぞ(呆)
まぁ、悪役にも色々あるが、細川センセの描く悪役って大概は自信だけはタップリで、人の話はぜんぜん聞く耳もたず、行動はいよいよ浅ましくなっていく傾向がある(浅ましく描かれる、というほうが適切か)。悪い人はどこまでも性根が悪く、良い人は愛される。もっとはっきりいえば、善側にみられる独善的傾向が濃厚のあまり、時に怖いなと思うときがある。このような白黒はっきりの王家世界は大人から子供まで楽しませてくれるが、善悪はっきりだから面白いかといわれると私はあんまりそうは思わない。確かに大いに笑える漫画だけど、王子をここまで迷走させる昨今の展開は、かえって彼を笑いものにしてないか?という疑惑を生じさせる。愛の罪深い一面を彼に具現化して描きたいのかもしれないが、それにしても情け容赦ない描き方だ。だんだん笑えなくなってきた。正直なところ、細川漫画に時々みられる、キャラクターをこういうふうに主観的に扱うやり方は、私はあまり好きではない(勘ぐりすぎかもしれないけれど)。

今月で、キャロルは自分がイズミル王子と婚儀(※)を挙げたらしいことを知ったのだが、動揺しているのが「既成事実の有無」より、「神に誓った」というあたりがなかなか面白かった。それに、オロンテスの件の真相(将軍側のバイアスかかってるとはいえ)を知ったキャロルの心境の変化も興味はある。王子に感謝しはじめたら今度こそ読むのを止められるんだが。※王子が魔女キルケーに唆されて、キャロルが薬でボーッとしているドサクサに紛れて挙行したイベント。床入りの前に逃げられているが、王子のなかではキャロルはすでに「わが妃」であるらしい(王家の紋章 (41)あたり参照)。

「姫君には王子こそふさわしく 王子には姫君こそがふさわしい」
忠実な老将軍は熱烈な口調でそう言う。

ここでそうだそうだ王子はいいよ〜とキャロルに薦めてあげられるほど私の人間が出来ていれば良かったのだが、生憎修養が足りないので、じじいの寝言なんざ丸めてポイである。自分には誰が相応しいか、それを他人に決めてもらいたいかね、キャロル?

瀕死のフェネックはメンフィスが拾うに違いない。「おおーーこの目にも眩しき黄金の髪は我が美しき妃、女神の娘キャロルの(以下略)」それできっと1号丸々つぶれる…。乙女顔になってしまったミヌーエ将軍に落涙しながら来月号を待とう。

*1:ヒッタイトのハザズ将軍