豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 2005年10月号プリンセス連載分雑感

【今月のネタバレあらすじ】

・ケツシ将軍の馬蹄にひっかけられたフェネッ仔(パピル)、火に巻かれて絶体絶命。
・そこへ将軍を追跡してきたエジプト兵の一団が通りかかり、アマゾネスの王女ヒューリアは草むらの中に輝く金髪を目に留める。そこには怪我した狐が。
・ヒューリア、大怪我したその狐がナイルの姫の飼い狐だと見抜く。
・フェネッ仔をメンフィス王へ届けるべくヒューリア別行動へ。この大火ならば王はきっと風上におられる――とファラオの行動を先読み。
・王女の読み通り、その頃、ユクタスパンツ履いたメンフィス王は手勢を率いて河岸の高台に這い登り中。無事難を逃れた王は、そこに集結していた兵と合流を果たす。
・眼下の河港地帯はすでに火の海。
・と思うと、文字通り「雲が渦を巻いて降りてきて」大雨ザーザーザー
・メンフィスたち、近くにあった廃神殿にひとまず避難する。
・一方、山火事を避け、洞窟に避難していたイズミル王子たちは恵みの雨に大喜び。
・キャロルはまたもや意識朦朧。「王子の言葉など信じないわ トロイの神殿など知らないわ まして神の前で誓ったなんて…」ハサンの必死の看護が続く。
・ヒューリア、メンフィス達のところへたどり着く。
・妻の愛狐に再会して驚く王は、更に狐が身につけていた金色の髪と絶体絶命を訴える妻の手紙に愕然とする。
・で、いつもの如く怒りつつ発奮するメンフィスなのだが…。
・天に雷鳴が轟き渡るなか、イズミル王子一行が潜む洞窟の外では、復讐に燃えるジダンタシュ王子が待ち構えていた…

以下、11月号に続く。



【今月のお言葉】
「この地に住む民たちも逃げまどっておろう。民の被害は甚大ぞ」
*1



【今月のダラダラ】

ええ、そうでしょうとも雄々しき陛下。
毎度毎度毎度王妃と王がいなくなる国の民も見えない被害甚大ですことよ。

フェネッ仔は任務を果たした。
――ということは、当分はあのケンケン必死シーンに付き合わなくて済む。
そう思うと正直嬉しい。


ここでいったん整理してみよう。
今、バルバリソッスにいる勢力でこの先ぶつかりそうなのは


1:メンフィス率いるエジプト軍
2:イズミル王子率いるヒッタイト軍(+キャロル)
3:ケツシ将軍率いるヒッタイト
4:ジダンタシュ王子の私兵

(もう全滅してくれてかまわないのだが…)
ルカがどこかそのへんにいるかもしれない。


あとは


5:アッシリア王アルゴン→兵員不足により放火逃亡
6:バビロニア王と王妃→慶事につき急遽帰国
7:大商人バザル→奴隷監督が死亡につき追跡余力なし?

以上3組すでに脱落した模様。
どっかのモノローグにあったように、この先アイシスがネバメン騒動に巻き込まれるのなら、ここでひとつメンフィスまでどこかに連れていかれてしまうなんていう展開になるのだろうか。メンフィスが現在雨宿りしている古い神殿は、もしやイズミル王子が昔イシュタル女神から「神託」を受けたとかいう神殿と同じ場所だったら面白いかも。なにせ、イシュタル女神は美男子と戦争が大好きらしいから。そのくらいのキテレツ展開を期待しても宜しかろう?プリンセス編集部。

今月の予告についていた一文「事態を一変する出来事が!?」って、大火事の後の大雨=自然現象にそれ言いますかね!?イズミル王子が表紙のプリンセスを買わせるっちゅー前代未聞の罰ゲームを敢行しただけじゃ、まだ物足りんのか?黒い渦巻きが降りてくるなら現れた血塗れ振袖に王様が巻かれて極東ジパングの戦国時代に飛ばされたり、炎で時空が歪んでネフド砂漠のライアン社長がも一度王子にマグナムぶっ放したり、とかいろいろ事態を一変する出来事妄想した私はどうなる。
ここにきてもやはり事態は遅々として進まず、今月になっていきなり明かされた事実にも不審が増すのである。キャロルがフェネッ仔パピルに託したのは、髪ひと房だけじゃなくて、手紙もあったとはね。2004年の9月号(既に1年も前なのに気づいてやや鬱…)を読み返すと、どうも手紙を書いてるシーンはないのだが、いつの間にこれをしたためたのか謎は深まる。念写したとかじゃなかろうね。「体が弱ってもう動けない。死んでもあなたを愛しているわ〜」と実に泣かせる内容の手紙だったが、敢えて言わせてもらおう、王妃さま。

自分の現在地(商人バザルの家)と自分がこうなった経緯と拉致に関係した者の名前とか、どこへ逃げるつもりかとか、手がかりくらい書き残したほうがよかないか。早々と死ぬ気なのは感心しないな。感傷的な遺書書いてる場合じゃないぞ、いつまで経っても誘拐慣れ出来ないお嬢さんじゃのぅ、しっかりせーーー!ご夫君だって、あれ読まされたらそりゃ「最後の手紙などと!まったく縁起でもないっ 愚か者めーー!」と頭から雲出して怒るだろう(「縁起でもないって」ちょいと仏教徒がかってるが)。

そんなメンフィスはメンフィスで、今月のヒューリア王女がきりっとクールに描かれているせいか、相対するメンフィスの反応がやたら子供じみて見える。そらもーどっちが年上だか統治者だかわからんくらいに。

それに、せっかくの感動的な手紙シーンなのだから、もう少し「魅せ」てくれないか。
切ない手紙の文面に、怒るメンフィスの立ちポーズと目ショットと手書き「な なにーー!」を被せるとここの情感が甚だしく破壊されてしまう気がする。どっちかといえば、あそこはキャロルとメンフィスの心情描写を分けて、無言で佇む後姿のメンフィスのコマのほうを大きく見せたほうがいいのではなかろうか…なぁ。私にマンガの素養は無いけど。
想いを馳せたり、怒ったり――描かれる感情の落差が激しすぎ、読んでいて疲れてしまう。メンフィスが子供っぽく見えたのもそのせいかな。キャロルが可愛がっていた狐を死なせるなと軍医に命令するのはまあ可愛いとしても、怒りながら発奮するのが彼の性格で、愛情表現なのだとしても、このへんは切迫感に欠けて胸キュン(死語)には程遠い。死の砂漠をキャロルを探して駆け回っていた頃に見せた、彼の必死さ、切なさはどこにいっちゃったんだろうか。緊縮財政な王冠とユクタスパンツのせいだったらどんなにいいだろう。

ひとつ救いだったのは、天候に気をとられているせいで、先月感じたイズミル王子の鳥肌ものの気持ち悪さが薄かったことかな。帰路を急ぐ王子さまは、キャロルをほったらかし。そりゃ無理もないわけで、迫れば具合を悪化させてしまわ、わが妃を言い募れば経緯を説明しないといけなくなる。王子の欲しいのは、潤んだ目で黙って見上げて「はい」と言ってくれる少女だけだもの。もし王子が「魔女の手を借りてあんたにラリッてもらいました」って言えるほどプライド無かったら、とっくに幸せになれただろうに。だから、彼にはこの先ずっと空を向いててくれるとウレシイ。遠い空の向こうでも見ていてよ。絵になるから。
私としては、まさかり担いだジダンタシュ王子が、この先何をしでかすか楽しみなのだ。
イズミル王子の敵=悪い奴、アタマの悪い奴、意地汚いヤツ、腹黒いヤツという方程式は、王子の崩壊とともにすでに成り立たなくなってきたと思うのだが、作者はいまだ路線を変えないつもりか、そこにこそ私の興味がある。50巻読んで驚いたのは、息子の(名目上の)嫁を狙っていると王が放言しても「王子の恋を叶えてやりましょうよ」とヒッタイト王妃が微笑むことだった。それくらいイズミル王子至上主義帝国ヒッタイトには、ろくな未来は期待できない。夢見る王子にガツンと一撃くれてやるのはジダンタシュくらいしか思いつかない。

アイシス再登場なんていつのことやら…

*1:エジプト王メンフィス