豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 2006年1月号プリンセス連載分雑感

通りがかりの駅のコンコースで古書市が開催されていて、何気なしに投げ売り文庫コーナーをのぞいてみると、以前から読んでみたいなと思っていた「バビロニアの科学」(マルグリット・リュタン著/矢島文男訳/白水社文庫クセジュ)があったので、捕獲しておく。お値段ほぼ1/4の200円。最近ここの文明の占星術方面にちょっと興味がでてきたものの、数学ダメダメなワタシの手に負えるかは保証の限りではない。いつの間にやらだんだん積読本が増えていくのが頭痛の種なのだが、絶版本は見つけたときに買っておかないと次はいつ会えるか。あとは、遠藤周作氏の歴史小説「マリー・アントワネット」(新潮文庫)の上巻だけバラ売りされていたので、これも捕獲。来年の11−12月、帝劇でミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイのコンビ(「エリザーベート」や「モーツァルト!」を手がけている)による新作ミュージカル「M.A マリー・アントワネット」が上演されるが、その原作本である。昔読んだことあるとばかり思っていたのだが、よく考えてみるとそれはツヴァイクの「マリー・アントワネット」のほうだ。遅ればせながら、遠藤さんのフランス革命ものを読んでみようと思う。ああ、また本が増える。

でまた帰りに、近所の書店で「プリンセス」を購入する。呪われとるわな。
今月も雑誌表紙がキャロルだったので驚いた。見るからに”レトロプリンセス”ってカホリである。

連載中「王家の紋章」ネタバレあらすじ&私的雑感は、いつものとおり以下別項。
●今月のネタバレあらすじ
・大火から一転豪雨に見舞われた河港バルバリソッス。大ユーフラテス河の濁流は街を飲み込み、岸辺で見守るメンフィスたちはなすすべもない。
・その頃、イズミル王子はキャロルをひしと抱いて荒れ狂う激流に流されている真っ最中。
・濁流に流されるまま王子はあちこち岩場に叩きつけられ(+愛のセリフを垂れ流しつつ)深手を負う
・どこかの川辺に打ち上げられ、はっと気がつくキャロル。傍らにはボロぎれ状態の失神王子がひとり。
・キャロルとしてもここで逃げたいのは山々なのだが、自分を庇ってくれた王子の傷も気にかかり傍でぐずぐずしてしまう。
・でも思い切って逃げようとすると、そこに人陰が!
・「わあーーっ ハサン」「おっ おおーーっ黄金のお姫さまっ」と再会を喜ぶ平和な二人。
(それよりカレブは無事なのか〜〜?!)
・早速キャロルはハサンに王子の手当てを懇願する。
・泣く児とお姫さまには逆らえないハサンが仕方なく王子に薬を飲ませると、人の気配がして2人は慌てて隠れる。
・意識が戻り始めた王子の前で怒号する大男は、誰あろう、十何年まえに国を追われた従兄弟のジダンタシュ。瞬く間にジダンタシュの手勢に囲まれ、孤立無援の王子、絶体絶命!
・と、ここで、黙ってられないキャロル。斧を振り上げたジダンタシュの顔めがけて目潰し作戦にでてしまう。
・当然、あっというまに見つかり、身元もバレたうえ、ジダンタシュに生け捕りにされてしまった…。

→2月号につづく。



■今月のお言葉というか笑い見どころ♪

岩にガシガシ叩きつけられている最中ですら、ずーーと喋りつづけているイズミル王子スゲーーーーー
とにかくスゲーーーーさすがだーーーー
本人が大真面目なだけに、ここで爆笑しちゃいかんと思うのだが、これ我慢するくらいなら清水の舞台から飛び降りてやる。
腹抱えて床をのた打ち回って笑ってしまった。
許せーーーい、イズミル王子。

例:

「む 姫・・・は はなしはせぬ けっして――」




ダーーーン




「く・・・この激流には逆らえぬ」




ゴォーーーー




「動くなっ 岩場ぞ 右も――左も――」
「姫  はなさぬ はなしはしない なにがあっても」





ガーー




「やっと…やっと…この胸のなかに抱きし姫!」




ズシン




「我が生涯をかけし夢ぞ」




ガシ



「我が命あるかぎりそなたとともに…」




ダーン




「おお わが女神イシュタルよ 姫を 姫を守れ
わが命  御身の御手にゆだねん」




ガキーーーン

いちどコレ↑を音読してみてほしい。ぃゃもちろん無理にとは言いませぬが。
チエコ先生の擬音表現の多彩なバリエーションもすごいが、手書き擬音の箇所を脳内再生しながら読むとまるでハリ扇使ったコントみたいなんだもん。わはははは(爆笑中)

それはさておき、身を挺して守ってくれる男にグラグラするのは王道少女マンガのヒロインの属性なのか、今月号のキャロルも、根がお人好しの彼女のこと、気を失ったイズミル王子を何とか助けたいと彼女なりに手を尽くすのである。流沙に落ちても生きてたくらい丈夫な人やし放置プレイで大丈夫なんでは〜?といくら外野(=ワタシ)が言っても、それではヒロインとして思いっきり正しくないらしい。で、ここでは王子の手当てはキャロルがせにゃというわけね。だいたい、あんたが瀕死のひとだったでしょぉ?とキャロルにつっこみたくてたまらないよママン(ハサンの「それに姫さまにも薬を飲ませておかなきゃな 意外に元気でほっとしたが…」ってセリフがフォロー気満々で笑える)

そして、今月大爆笑シーンその2。
ジダンタシュが、ついに神秘の(?)ヴェールを脱いだっ!!

つーか、キサマは誰ぞ!

(註:あのインパクトを伝えたいあまり、著作権を考慮して、登場ページのイメージ図)

リサイクル王家キャラというのは、ことごとくワタシの期待のナナメ60°上をいくんだもんなぁ。
近いところで蛸踊りキルケーとか。
蛸女の次は狐面男、そして狼頭巾、んで、とうとう熊男現るってか。
ワタシは悪役好きなので、粗暴少年ジタンタシュもあれから潜伏逃亡生活で苦労し、それなりに人格に深みが出ていて、ヘタレた従兄弟王子とこの先がっぷり四つに組んだ大勝負を繰り広げてくれるであろうと期待していた。
だがしかし、今月で素顔を晒したヤツはただの山男か???
このジダンタシュ、ワイルドで売り出すにはマザコン臭が残りすぎ、加えて居丈高に怒鳴るだけとくればセクシー味に決定的に欠ける。つまり、偽王弟ネバメンVS新婚ボケ王メンフィス組と似たような脱力感を覚える。ネバとジダの違いといったら、ネバは意味不明な自信過剰気味男でも徒手空拳の奴隷上がりなのに対し、ジダ坊はママンとイエスマンつきの小山の大将であるちゅーことかい。あたしゃ、王家キャラの顔なんか目鼻がついてりゃあとどーでもいいが、この大男には到底萌えられそうもないよぅ。丸っこい相貌にあのモミアギェ〜〜〜ェェェーーーー
ではなくてだなぁ〜〜イズミル王子の五割増しくらいの胸囲&五割減りのオツム(あくまで目算)をママで補完という取り合わせに耐えられんのですよ。ええ。孤高の職業奴隷番ブズル(合掌)を見よ!
母が望むから、母に吹き込まれたから、じゃなくて、自発的にイズミルからヒッタイト王位継承権をもぎ取ろうとするジダンタシュ。両雄赤い台地に火花を散らし、ヒロインは王子に寄りすがったりせず、自分の頭と足で立って王子を助け(なくてもいいが)エジプトも巻き込んで戦になる――なんて展開をこそ読みたいんだが、ジダがあれだとどうも望み薄っぽいなぁ。

などと、今回の敵役キャラに関してはブーブー文句を垂れたいが、ストーリー展開としては面白くなってきたのではないか、と思わなくもない。仇敵にキャロルの命を盾に取られた孤立無援の王子が、これからどんな行動に出るのか、彼の献身(?)を目の当たりにしたキャロルに心境の変化が現われるのか、この先見せ場になるのだろう。なんかいかにも出来レース臭いような気がするが、このまま彼の方にドリーム王子でいられても困るし、当分「我が妃」連呼無しとするなら仕方ない流れか。
実はワタクシ、かねがね、ここまでヘタレたイズミル王子が失地回復するには、もうキャロルを庇って華々しく死んで美しく夜空の一番星になるしかなかったりして(!)、などと考えたりしていたのだが、この調子でいくと、イズミル王子は(死にゃしないにしても)タコ殴りくらいにはされそうな雲行きである。今月ラストでジダ坊部下が「王子を殺せー」と襲い掛かっているが、次はキャロルが「王子を殺すなら私を先に殺しなさいッ!」と立ちふさがって、とりあえず一緒に捕虜にされとけイズミル王子。そうしてキャロルが王子の一方的愛の絆をまたしても深めたりして。キャロルが瀕死のイズミル王子を見捨てられなかったのは、怪我した狐を見捨てられないのと同じだろうという気がするのだが、こんなところで、王子とキャロルにつり橋理論実践編になるのはどんなもんかなあ。ワタシは一国と女を賭けた愛のハナシは大好きだが、この流れでキャーとはまず言えないぞ。今の王子はキャロルが手に入るならヒッタイトなんざホイホイ捨てそうだからのう。といっても、同じく国主のメンフィスだってその点どうだかわからんし。そのうちファラオもどこかに飛ばされて3面作戦かぁ〜〜ああ、もうわけわからんですね、ハイおしまい。