豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

映画「リトル・ミス・サンシャイン」雑感

Little Miss Sunshine監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ハリス
出演:グレック・キニア トニ・コレット
 スティーブ・カレル アラン・アーキン
 アビゲイル・プレスリン

2006年アメリカ映画
上映時間:1時間40分
原題:Little Miss Sunshine⇒公式サイト 

【鑑賞メモ】
クリスマス。それは焼き鳥を食べる日。あるいは一人で映画を見る悲哀をひしひしと感じる日。一緒に買い物に行く予定だった友だちは身内に不幸があり、急遽キャンセル。家族が帰ってくる夕方までフリーになったわたしは、前から欲しかった保温性弁当箱を買い、本屋を冷やかし、昼過ぎにカップルで混み合うレストランに一人で入り、ワインとツマミの盛り合わせを注文して淡々と平らげ、すこし酔っ払ってこれを観た。
ふぅぅぅ。
すっごく良かった。笑ってほのぼのして、心から楽しめた。んで、帰宅後いつもより少しだけ心を込めて(肉のほかにカキを入れただけだが)キムチ鍋を作り、アイスクリームまで冷やしておいたりしてしまった。


ちょっとヘンテコな家族、フーヴァー一家の週末のあれこれを追ったロードムービだ。表題の「リトル・ミス・サンシャイン」は、カリフォルニア州で開催されるちびっこミスコンの称号。フーヴァー一家の娘オリーブが繰上げ候補になって出場できることになり、一家はポンコツバスに乗って短い旅に出る。
乗客6名のプロフィールはこんなかんじ。

自分が考えた「勝ち組になる九段階メソッド」をなんとか本にしようと躍起になっている失業中の身。

多忙なワーキングウーマン。夕食はいつもフライドチキン。広く優しい心の持ち主。

父の父。ヘロイン中毒で老人ホームを追い出される。年相応、枯れる、などという言葉は彼の辞書にはない。孫娘のダンス振り付け担当。

  • 伯父(スティーブ・カレル)

母の兄。自称「アメリカでのプルースト研究の第一人者」ゲイ。恋人と栄誉を同業者に奪われたショックで自殺未遂。医者の勧めもあって同居中。

ニーチェに傾倒し、沈黙の誓いを九ヶ月敢行してきた思索型15歳。彼の夢は空軍のテストパイロットになること。

名前はオリーブ。ミスコン優勝に憧れる踊りが大好きな七歳。


オリーブちゃんの前歯の隙間といい、オバくさいメガネといいおなかぽっこり体型といい、故ジョンべネちゃんもどきの候補少女がずらりと並ぶ中、ひとり明らかに浮いている。でも、自分が浮いているのが全く判ってないあたりがすっごく可愛いコ。どーでもいいことだが、最近の彼女の写真を見ると、すっかり大きくなってどことなくキルスティン・ダンストっぽくなってる。それはともかく、この映画、キャストが最高にいいと思う。アラン・アーキンのスゴ悪爺もステキだが、やっぱり父の変身ぶりは外せまい。けっこうハンサムなのに、頭軽くてヤな勘違い男をやらすと絶品のグレッグ・キニアが、今回もすごく嵌ってる。鬱陶しくもあり、でも可愛くもありという彼の持ち味が最高に発揮されていると思う。ラストシーンはめっちゃ感動してしまった。ワタシはやっぱこういう温かいコメディが好きだわ。冬休みになにを観ようかな〜と気になっている方にもお奨め。


ところで、このメモ書くにあたり、オリーブのお兄ちゃん(ドウェイン)の役の少年のプロフを調べていて驚いた。「卒業の朝」に出ていたのか!あのハリポタみたいなドン臭そうな男の子が、ああいう細面の憂い顔美少年になっちゃったのか。ホルモン恐るべし。
卒業の朝この映画はケビン・クラインが主演で、私立男子高(寄宿舎あり)の師弟もの。ワタシはいわゆる「男子高寄宿舎もの」に妄想が脹らむシュミはないものの、青春群像+師弟ものはけっこう好き。ピーター・ウィアー監督の「いまを生きる(原題:Dead Poets Society)」とか。マンガでいえば「トーマ」「風木」よりは「まりしん」好きといえばいいのか。「卒業の朝」は原題を「The Emperor's Club」といって、ケビン・クラインはギリシャ・ローマ史の名物教師を演じている。もともとムービープラスで放送されていたのを途中から観たら、これがけっこう面白かったので、後日レンタルして全部観たのである。学園に転校してくる少年役の男の子が、狡賢さと繊細さを絶妙にみせてとても印象に残った(成人後の彼はどうもイケ好かないが)。このコ誰だろうなぁと調べたところ、彼がエミール・ハーシュだった。そのうち彼はきっと大ブレイクするにちがいないと密かに思っている。