豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

映画「マリー・アントワネット」雑感

マリー・アントワネット監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト ジェイソン・シュワルツマン ほか
2006年米仏日映画/上映時間2時間3分
原題: Marie Antoinette ⇒ 公式サイト
【鑑賞メモ】
あまりにもスゥィートなお洋服の数々に☆1つ献上してみた。要するに中身はワタシ的には☆☆なんだが、ベルサイユ宮殿借り切ってロケしただけあって、画面見てるぶんにはうっとりな女の子映画である。なんつーても帰りにサテン地の細いリボン(黒とピンク・笑!)とカボチャプリン(笑!)を買ってしまったくらいだからして。もし余裕があればフレンチブルだって買ってしまったかもしれぬ。ちっちゃな貴族の女の子とか、マリー・アントワネットの娘とか息子なんて、ホントにお人形のように可愛いのよぉぉぉ(絶叫)!!
しかし。
嗚呼青春。またはガーリー。あるいはリリカル? これらのキーワードすべてが私には眩しくてたまらない。こっ恥ずかすぃぃ〜〜(悶)といってもよい。であるからして、己の煩悩のままにこれらのキラキラしい世界を描き出すソフィア・コッポラは確かにすげーひとだ。でもってうっとりしながらもどこか醒めちゃうというか、正直タマらんなと思う自分がいるのも確かなのだけど。私にとって青春というのは早く忘れ去りたいものであって、まして少女なジブンにうっとり出来る才能には恵まれていないらしい。
この映画は初々しく健気なお嬢さまだったオーストリイ・ハプスブルグ家のマリア・アントニア皇女が、14歳でフランスにお嫁入りし、バカバカしい慣習でコチコチになったフランス宮廷で揉まれるうちに、段々人間性がスレてくるという話である(そうか?)従って、マリーがのちに大人の女として、フランスの王妃としての威厳と成長を見せる革命後のエピソードは、すっぱりカット。女の一代記「ベルサイユのばら」路線を期待して観に行くと裏切られるかも?フェルゼン伯爵なんて単なるヤリ逃げ男だし。(私はベルばらを二十歳過ぎてから読んだが、すでにスレていたせいか全くハマらなかった。どっちかというと太陽王時代を舞台にした木原敏江さんのマンガ「アンジェリク」のが好きら……ていうか、ジョフレ・ド・ペイラック伯が)主演のキルスティン・ダンストのマリーはそれなりに愛らしくハマって見える。奥手な夫と世継ぎを待ち望む周囲の板ばさみになって苦しんだ王妃が夜遊びと放蕩にハマってゆくあたりを見ていると、私はごく自然に「よしよし、そーやって国家財政破綻させてしまえ、やっちまいなマリー!」と応援してしまったりするのだ。
どーでもいいことだが、王太子夫妻がお忍びでやってきたパリの仮面舞踏会のシーンで、本人と知らずに王太子の奥手ぶりをからかう貴族の男がちらっと登場する。あれ?と思って確かめたら、やはりMathieu Amalric(「キングス&クイーン」とか「ミュンヘン」に出てるフランスの俳優さん)だった。ちょっと嬉し♪あとは礼儀作法夫人ことマダム・ノワイエ役のシュディ・デイビスのカチンコチンな動きとか、三白眼がインパクトあるアーシア・アルジェントのデュ・バリー夫人の崩れた感じもなかなか宜し……なんて余所見ばかりしてたりして。
マリーのガーリーな世界は完全に閉じているゆえに美しい。シンプルナチュラルライフを愛した先駆者に見えなくもない。でもそれは、この映画でただの一度も王宮外の庶民の生活が描かれないゆえに美しく見えるにすぎない。好き嫌いは分かれそうだが、いかにもお嬢さまの闘い方だよなあ〜とヘンな感心をして終了。