豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

「アレクサンドロスの征服と神話」森谷公俊

アレクサンドロスの征服と神話最近続々と刊行されていて、個人的に気になっているシリーズ「興亡の世界史」(講談社)のなかの一冊。オリバー・ストーン監督作「アレキサンダー」の日本語字幕監修もつとめられた森谷公俊さんの、最新アレクサンドロス本である。まるごとアレクサンドロス特集、というよりも、アレクサンドロスというプリズムを通さなければまさにこの時代は語れないのだなぁとつくづく思ってしまった。アレクサンドロス大王って、私のイメージでは青春のひと、もっと遠くへ!のひとである(なんだそりゃ)。この本はアレクサンドロス入門編としてもとても読みやすかった。それに、学生時代教科書で習って以来、私が何気なく使っている「ヘレニズム時代」という概念の問題点を指摘してある章が、とても面白かった。折りしも、海外ではすでに公開になっているギリシアVSペルシアの戦いが背景の映画「300」に対して、イラン政府が民族の祖であるペルシア人を侮辱的に描いていると噛み付いたというニュース(参照)が最近流れたけれど、ギリシア民主制を至上のものと考える価値観は、今もって抜きがたく西洋世界にも(そして日本にも?)染み付いているらしい。ハリウッドのエンターテイメント映画だからって笑って済ませていいのか悪いのか。悩む。