豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

月刊プリンセス2007年6月号掲載分雑感

月刊 プリンセス 2007年 06月号 [雑誌]【今月のネタバレあらすじ】
インダス国の使者シンドゥ太子が慌しく帰国し、エジプト王宮にもようやく平穏な日々が戻る。健康を取り戻した王妃キャロルは、奥の宮殿で水鳥の親子を観察したり花を摘んで宮殿内を飾ってみたりと、平和を満喫していた。そんなとき、ディルムン国から交易申し込みの使者が来訪する。インダスとも交流のあるディルムン人の使者(実は国王)から、最近インダスの近隣で略奪が起こり始めているらしいとの情報を伝えられたキャロルは、歴史書に記されていた通りに今まさにハークラー河が涸れつつあると強いショックを受ける。ナイルの姫の動揺ぶりは直ちにディルムン人にも伝わり、インダス国との交易断絶を決意させるのだった。事態を重く見たメンフィスは、インダス国崩壊でエジプトが受ける影響を最小限に食い止めるべく、食糧備蓄の増進、国境警備の強化など様々な指示を出す。
一方、王弟として王宮に入り込んだネバメンは、カプター大神官の指導の下殊勝に神官修行に励んでいる体を装いつつも、内心は不満を溜め込んでいた。いつまでたっても弟子扱いするカプターにも、また単調な儀式の繰り返しの日々にも、さらには、王の帰国後手のひらを返したように寄り付かなくなった大臣たちのことも癪にさわるのだ。鬱積する不満から、ネバメンは神殿での神事もサボるようになっていた。
そんなある日、ネバメンの心に新たな野望が芽吹く。発端は、ミヌーエ将軍が兵士の訓練をする様子を夢中で見物していた侍者ペルトが発した無邪気な一言。
立派な弟君で、立派な神官様で、また将軍でもある、というのも面白くないか?……自分の兵士を持ち、動かしてみるってのは?俺が目指すはエジプトの将軍だ。やってやれねえことはねえ。
だが、新たな目標に向かって燃え始めたネバメンは知らない。
その頃、メンフィス王の元にミノス王とユクタス将軍がエジプトへ向けて出発したとの報が届いていた。大商人タルシシの交易船は5年前にイオニア海で炎上沈没してしまったので、タルシシを知る男を探し出して同行するとの口上を読み、俄かにメンフィスの心にネバメンへの不審が兆す。一方キャロルはミノス王が来訪するとの知らされるや、少年王の恢復ぶりを無邪気に喜んでいるのだが……。
ネバメンの運命やいかに?

⇒続きは7月号で。



【今月のお言葉】
もう厭きたぜ
朝から夜まで毎日毎日神への祈り
このおれが
カプター大神官のうしろについて
うじゃうじゃいる神官どもをひきつれて
のんべんだらりと祈りの毎日
*1
 


【今月の爆】
ネバメンの運命やいかに?
――って、オメーはいつからヤツの贔屓になったんだョ!今迄散々バカだ陳腐だとクサしただろ!立派な弟君の侍者の俺ぁ怒るぞ(プンスカ)。
なんてペルトに喰ってかかられそうだが。

まぁ聞いておくれな、ペル公よ。
ワタシは今回初めてペル公がネバから離れないわけがわかった。あんなおマヌケ野郎を愛でずにいられるかい?【今月のお言葉】に採用したヤツのセリフなんか、妙にリズミカルで何度も口ずさみたくなってしまったわ(王家のモノローグって、そういうのがたまにある)。全身脱毛する度胸もないのにカプターの弟子入り志願はどー考えても無謀だと思っていたのよね。そこへ今月、ペル公が「ミヌーエ将軍カッコいいなぁ♪」なんてうっかり褒めちまったもんだから対抗心がメラメラ。ネバメン殿下におかれましてはそれほどまでにペルトにご執心とは(笑)。でも、殿下ってば洗濯係がうっかりなんかの飛沫を飛ばしちまってそのまま乾いたようなスゲー脱力シミ柄マント着て気取れるのね。「俺は立派な弟君だぜフフフ」と悪だくみしてる一世一代の悪相バストショットで、殿下のマイクポジションにあるのはマイクじゃなくて骨付き肉(しかも焼き立てホカホカ。フリントストーンですか?)。あのコマだけで、ワタシは5分くらい床をのた打ち回って笑い転げた。スゲーよ。やっぱこの理解不能な王家テイストがあたしゃ好き(腐)
そんなわけなので、ネバメン殿下には多くは望まないから、これからもワタシをず〜っと笑わせてくれるおまぬけ悪党道を邁進していただきたい。



で、まぢめな話なのだが。
今月号でワタシは確信した。
何年後になるか知らないが、必ず王家世界でもサントリー二島が爆発する。ていうか、噴けやポセイドン。ドッカーンと噴きやがれ。
「キャロルとメンフィス――三千年の時間と空間を超えて結ばれた二人はこれからどんな愛を紡いでいくのか!?」って、何だよその投げやりコピーはよッ!ひょっとしなくてももう匙投げるとしか思えない。更に来月予告に「帰国の途についたインダス太子の運命は?」ってまだあの逆ギレ男の顔をみなきゃならんのかい(倒)ジョーダンはカラーイラストだけにして欲しいわ。
ワタシは普段、連載ぶんをふ〜んと乾いた笑いで読むだけなので、あまり将来展開など考えてない(考えたくもない)のだが、今月号で「歴史書で読んだとおりにハークラー河が涸れてしまうぅぅ〜知っているのにわたしは何もできないのぉぉ〜でも歴史は流れているんだし〜私の力の及ぶところではないわ〜終了。」でティータイムに突入するヒロインを目にして、じゃあ、確実にエジプトに影響が及ぶはずのサントリー二島の爆発なら?そこまで他人事でいられるのか見せてもらおうじゃないのとややイジワル目線の疑問がムラムラ沸いてきた。この危難に立ち向かわせないのなら、どこが叡智ある神の娘だっつーの!
「歴史は流れていくわ 定められた運命に私は無力 わたしには何もできない わたしがここにいるのはメンフィスを愛したから」
特にキャロルが吐いたこの他人事のような傍観者セリフが悲しいのだ。これは決して、「自分はメンフィスが早死してもそれも運命だと受け容れる」という意味ではないだろう。考え始めると半狂乱にならない?表面上はまことに美しい達観ぶりだがあまりにも嘘臭い。サントリー二島が爆発して、自分が無邪気に垂れ流してきた“歴史書で読んだこと”とやらの現実を思い知ったときのキャロルがどうするかが私は見たいのだ。そこへ持っていくためのインダス滅亡ネタだったらいいのに。
思うに、メンフィスはもう心揺れまくりキャロルの顔色に一喜一憂する愛妻家のポジジョンを確立してしまった。つくづくメンフィス王という人は(別段彼だけに限った話ではないが)根が善人で、およそ政治家向きのキャラではないのね。だって、仮にも弟と認めたネバメンを王宮内で放置する結果が計算できない人なのだから。あんなに国務に勤しむシーンがあったのに、妃のお幸せオーラが眩しすぎて今回(も)驚くほど存在感がないのもそのせいに違いない(ワタシは「今わたしは国を動けぬ」の頃のファラオがみたいのよッーーー吐血)。お妃さまにしたって、衣装とか冠に花モチーフがピンピン飛び始めると、やたら子どもっぽくなってしまうのもデジャブ。小鴨小狐小侍女と小動物が跋扈するのも恐怖の前触れ。もしかしなくてもこのままでは、王妃さま手製の卵サンドで、かつての偏食少年王をもてなす歓迎宴会企画が持ち上がってしまうぅぅ。で、また宴会の最中にタルシシの知り合いに化けたキルケーが髭ダンスしながら酔っ払った美青年王を拉致していっちゃったりするわけ!?もしかしてミノス(とユクタス)に難を逃れさせるため、このたびの唐突な来訪があるんではないか。ああ、その前に、素性がバレそうになったネバメンが何か一騒動起してキャロルもエジプトを離れたりしやがれ〜とか。
泣きながら妄想逞しちゃう今月展開なのだった。まさにドツボ。
ここで、「マンガノゲンバ」より大宮エリーさんの「王家の紋章」推薦コメントを引用してみると。

(ナレーション)
大宮さんは「王家の紋章」はまず舞台の設定がすばらしいといいます。
(大宮)
「物語の世界観が単調じゃない、というのかな。まぁ、幕の内弁当を食べているような感じ?こっち食べたらこんどこっち食べてみようか、みたいな。そういう感じがして全然飽きないですよね。だからこんだけ続くのかなぁ…と思ったんですけど。こうやってなんかもう一個の世界を持って、行ったり来たりするってやっぱ大事ですよね。すごく。う〜ん。なんか、それを…読んでそう思ったというか。皆…女の子は意外とけっこう持っているんですかね。意外と。あの、なんか好きなタレントさんでもいいし、音楽でもいいし、まぁそこのなかを、行ったり来たりして日々みんな暮らしているのかなぁと思って。う〜ん、私あんまり、悲しいかなそういうのがないので、これを読んで、ああなんかキャロルという人に乗り移って行ったり来たりしてるのが単純にジェットコースター乗っている感じで、乗っては降り、もいっかい走って並び、乗ってみたいな…そういう感じで面白かったですけどね」

≪中略≫

(ナレーション)
スピーディな展開を支えているのは個性を強烈に際立たせた人物設定。30年以上にわたる大河ロマンを成功させている秘密はこの人物設定にあると大宮さんはいいます。
(大宮)
「わたし、ツータイプの書き方があるんですけど。テンポを早くやるコントっぽいものに関してはキャラクターをいっぱい作るんですよ。で、設定を激しくしておく。もうひとつはほんとキャラクターを少なくして、まぁひとりのひとに焦点を当てて、ひとりのひとが色んな側面を持っている、そこがすごい面白いという描き方もあるんですけど。普通の日本のマンガだとやっぱりディープなので、こぅ…こっちの面ではいいひと、こっちの面では悪い人と描いて行きそうになるところを、あの…そういうのを一切描いていなんですよね。いさぎいいというか。そのかわり、そのキャラクターがどういうキャラかわかりやすくしてあって、すごい乱暴者だったり、すごい……あのなんていうか下半身だけの男だったりとか、ま、おカネだけひとだったり、ま、嫉妬に狂っているとか。被らないように、しかも端的に表現されているから、それだけであの…その人たちのパズルを、こう…どれとどれを組み合わさるとどうなっていくのか、そういうのを追っていけば楽しい。そういう風になっているので、ある意味、新しい。今読んでも新しいのかなっていう気がします」

特に後半のコメントをああ確かに「王家」にはそういうとこがあるよね〜と思い出しながら今月号を読んだワタシである。大宮さんのコメントのように、キャラ同士の組み合わせを楽しんで読めば、しばし愉快な時間を過ごせないこともない。

あるときから「王家」の物語は、私にとっての「鏡」なのかもなぁと思いはじめた。そう考えると、色んな不満とか鬱屈とか憤激(笑)とか距離がとれるようになって格段に楽になったように思う。「王家の紋章」とは、つまり、わたしにとって自分はこれこれこういう成長物語が読みたいんだなと、そのカタチをはっきり確認するための道具である。そして自分自身の姑息さとか卑小さとかショーもなさを見せつけられる鏡でもある。だから今でも手放そうとせず、ここにダラダラと手探りで雑感を残す。それが楽しい。そんなあたしはドMなのか。まぁ、それもありとしよう。

*1:いつのまにやら王弟ネバメン殿下