豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 映画「スパイダーマン3」

スパイダーマン3監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイヤ ジェームズ・フランコ キルスティン・ダンスト ほか
上映時間:2時間17分
2007年アメリカ映画
原題:SpaiderMan3⇒公式サイト
【鑑賞メモ】
世界最速公開からひと月経った現在、字幕版3回吹替1回通ってしまった。1も2も面白かったけど、この3鑑賞中の脳内アドレナリン放出度ときたら最近見たもののなかでもピカ1な気がする。先日吹替え版を見終わったあとに、小学生中学年くらいの男の子たち(もちろんママ同伴)の後について扉を出ようとしていたら、そのお子たちが口々に「すっげー面白かった!」「おれ泣かなかったけどすげぇカンドーしたよーーー」と言い合っていたので、お姉さんはひとり暗がりでフフフと不気味笑いを漏らすのでありますよ。いいよねぇ。画面とかあくまでマンガっぽいんだけど、ストーリーがちゃんと人間ドラマになってるの。そのせいだろうか、何かと凹んだりエネルギー切れかな?と思う週末にスパイディに会いに行く私なのだった。彼がビュンビュン摩天楼の間を飛び回る映像は、やはり足元からすぅっと血の気が引くほど迫力があり、ハリーとピーターの隙間追いかけっこシーンでは手に汗握ってしまった。音響のいい映画館で見ると、本当に音が線を描くようにして聴こえてくるので、これは是非設備のいい映画館で観ようよ!と周囲にもススメまくっている最中。吹替え版はこのあいだ地上波放送されていた1・2と同じキャストだったが、私はこの吹替えMJが時々語尾に「〜だよ」とつけてピーターに話しかけるのが気に入っている。「〜だわ」とかよりなんか、幼馴染の同級生っぽくていいじゃないの。それに今回は着替えるたびキルスティンのガーリーな可愛さを引き立たせるコスを披露してくれるのででへでへ言いながら見ている。ピーターじゃないけど、ワォ、ってなものである。とはいえ、今回は女のキャリアの築き方に対する考え方と男のそれとの微妙なすれ違いが描かれていたりするので、あのへん見ていてフクザツな気分になったわねと同年代の友だちと語り合ったりする。ピーターってば最初のほうかなり調子に乗ってるし(ブラックピーターのエピソードはシリアスなのに凄く可笑しかった。給料カツあげ成功してもやっぱクリアランスセールに行くのね君は〜笑)!パイレーツシリーズのエリザベスは度胸も腕も良いスーパーヒロインで、私も拍手喝采しながら見守っているが、それでもどちらかというと、より親近感を覚えるのはこのスパイダーマンのMJのほうかもしれない。挫折し、凹みながらも夢をあきらめようとしない女の子。ブサイクだの気が多いだのとも揶揄され、いつもさらわれ役だけど、私はMJが好きだ。確かに爽快豪快なスーパーヒロインは頼もしいが、だからといってそうはなれない女の子の等身大の悩みが下らないわけではないのだし。剣は振るえなくても、コンクリートブロックは落とせるよくらいで勘弁してほしいのよ。だからあのキスは私も許しません(謎)。昨日、帰宅すると「トリスタンとイゾルデ」のDVDがポストに入っていた。そういえば、スパイダーマン一回目を観て、速攻予約したんだっけ〜と思い出す。ハリーといえば、先日の地上波放送で1を観直して驚いたのだけど、高校時代のハリーってピーターと同じくらいイケてませんね(何しろおとーちゃんがキョーレツだったてのも大きいだろうが……)3では、スパイダーマンを父の敵と狙う彼の執念がストーリー上の大事なポイントになってくるのだが、これに対して彼は鮮やかな回答を示す。私は大いに感動してしまった。。。そういえば、3を観たという友人との会話で、寄生生命体に冒されてすっかりブラックになったピーターが、ハリーに投げつけた一言が話題になったことがある。
「あれはキツかった。普段のピーターなら絶対口にしない言葉だよね。オズボーン父は息子よりピーターが可愛かったみたいだけど、なんだろう?天才好き?」
「というか、あの父は科学者だったけど、今回ちょこちょこっとエピソードが出てきていたようにハリーは芸術家気質なんですよね。そこが父は不満だったんじゃないかな。でもね、私は思うんですけど、『本当のこと』って案外他人からすばっと指摘されてほうが、すとんと胸に落ちるってことがあるじゃないですか?ハリーは自分が父親に愛されていないことを認めたくなくて、というか父に愛されていたと思いたくって、あんなに父親の復讐に執着したんじゃないかな〜」
「それはあるね。そして、他人にそう言われて、認めることができるっていうのは、そのひとにそれだけの器量があるからなんだよ」

つくづく同感。傷つきましたというのは容易い。なぜって、人は弱いから。であるからこそ自己憐憫は麻薬の恐ろしさを持つのではないか。今回は自分でもコントロールできない黒い情念といかに戦うかという話になっている。復讐の果て無さ、虚しさ、恐ろしさ、そして哀しさがきちんと描かれていて、すばらしく胸が揺さぶられる。復讐心は誰にでもとりつきうる。しかし人間はそこから抜け出すこともできると信じたいなと思ってしまった1本。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、結局私がこのスパイダーマンシリーズが大好きなのは、ドンくさいヒーローの魅力もさることながら敵役・悪役にも救いが与えられることに尽きると思う。そういうわけで、あともう一回観るべし!