豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 映画「ラッキー・ユー」

Lucky You監督:カーティス・ハンソン
出演:エリック・バナ ドリュー・バリモア
ロバート・デュバル ほか
2007年アメリカ映画 上映時間2時間4分
原題:Lucky You⇒公式サイト
【鑑賞メモ】
この監督さんの映画ならきっと私の好みだろうという一人がカーティス・ハンソン。一番好きなのは「L.A.コンフィデンシャル」だけど、「ワンダー・ボーイズ」も「8mile」も甲乙つけがたい。で、今度の新作はエリック・バナドリュー・バリモアの共演だと聞いて楽しみにしていた。ドリューはあのどこか達観したような雰囲気と独特の横顔が好きな女優さん。エリック・バナは「ブラックホークダウン」で初めて見たときこの人は実力派の一匹狼男が似合うなと思ったのだが、この映画での彼もそんなかんじ。彼の役はプロの凄腕ポーカープレーヤーで、ベガスのとあるホテルのカジノを根城に生業を立てている。カジノの従業員ではないが、出入りは自由だし、ちゃんと彼専用の金庫があったりする。そんな独立独歩男にも泣き所があって、ポーカーの世界選手権に出場するだけの元手が無い(あってもすぐゲームに使ってしまう)ことと、目の上のタンコブともいうべき父(ロバート・デュバル)の存在。なにせ父親はポーカーの世界選手権で二度優勝したという傑物なのだ。しかしその傑物は息子からすれば、母と自分を捨てた極道親父なわけで、カジノのテーブルで顔を合わせればイヤミのひとつも言いたくなるというもの。余裕綽綽の父は何かと目障りであり、最初にポーカーの手ほどきをしてもらった師匠でもあり、超えるべき目標であり……と息子の心はフクザツなのだった。
ハリウッド映画はどんなジャンルの話でも父子関係を描かせるとそこにはすごく骨があるというか、安定感があっていいまとめ方をするように思うのだけど、この父子ポーカー対決物語もそう。舞台が非情な勝負の世界だけに、かえって人情の機微が深く味わえたように思う。「母さんの結婚指輪」が父子の間を行き来するたびに、二人の間のシーソーは緩やかになってゆき、そして最後に、息子は父に並ぶ。単に乗り超えるのではなく、父という人間をありのままに受け入れ、幼い頃のように傍に寄り添うことができるようになる。世界選手権のラストも含め、とても余韻のあるいい終わり方じゃないかなと思う。ドリューは彼が好意を持つ駆け出しのクラブ歌手の役。ナチュラルであたたかみのある、彼女の持ち味が生かされていて恋の話も分量的にちょうどよかった。なにかと「賭け」のネタを探して生きているカジノのヘンな男たちとか(クレジット後もお見逃し無く!)、冒頭で繰り広げられる息子と質屋のおばちゃんと会話とか、枝葉末節の会話がどこかにこういうひといるだろうな〜って思えてとても好きだ。
不精でトロい私はバクチの類はやらないことにしているが、こういう触れたら血が出そうな緊迫ポーカーシーンをみているとせめてルールくらい知っておこうと毎度思うのに、全然進まない。国の税金でしれっとバクチをしてしまう某スパイあたりを見習いたいものだが。

どーでもいいこと役者ネタ。
エリック・バナが最初にポーカーをするシーンで、彼の隣の席に座ってる男が「ボラット」のデブTVプロデューサーのひとだった!!ただ座っているだけの役なのに、あの裸乱闘を思い出してあやうく映画館で噴出すとこだった。あぶね〜