豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

至福


毎年この時期には、クリスマスの買い物を兼ねて友人Q嬢が東京にやってくる。
今年は運よく私も時間が空いたので、我が家に泊まってもらい、夜中までおなご同士気兼ねなくあーだこーだと世事及び私事の諸々をしゃべくり倒し、今川義元と師匠の関係を熱く語り合った挙句そのうち疲れ果てて並んで寝てしまった。
翌朝は私がテケトーに作った朝ごはんをたべ、お昼すぎにぶらぶらと伊勢丹新宿店の殺人的な人ごみ(特に1階の宝飾品売り場前の混雑ときたら……)で、うっかりはぐれそうになりながらショッピング。その後、Q嬢お気に入りの紅茶屋でアフタヌーンティーと洒落込んだ。ここでは白スーツの若きジェントルメンズがお茶のサーブしてくれるのだ。デザートだってもちろんつけた。この栗のモンブランというか、ノエル風のロールケーキ(?)はクリーム自体はそんなに甘くはないのだが、やはりけっこうなボリュームだった。食べたけど。

よく考えると、Q嬢とももう10年以上の付き合いになる。なぜに私のような中途半端な人間を好いてくれるのかよくわからないので、東京駅で別れる際は、少し感傷的になってしまうのだった。
高校時代からの親友が死んだ話を打ち明けたとき、Q嬢はわたしの脈絡のない繰言をうんうんと頷きながら聞いてくれた。どうして彼女はあんな嘘をついたんだろうかと私が訊くまでもなく呟くと、Q嬢はこう言った。
「それはね、たぶんそのひとはdreamynov(仮)ちゃんが相手のときは、そういうことは無かったものとして話をしたかったんじゃないかなぁ。気楽になりたいときってあるじゃない?」
わたしは一瞬虚をつかれ、そして打ちのめされた。

わたしは友だちといえども、全てを知りたいとは思わない。
友だちにもわたしの全ては知らせていない(と思う)。
時にはそれを秘密主義者とか、何を考えているのかわからないと批難されることもあったけれど、それが気に入らないのならば離れていかれても仕方が無いと思っている。
もし彼女がわたしにそうした役回りを望んでいたのならば、わたしは見事に期待に応えた(とてつもないマヌケには違いないが)。だとすれば、わたしに何かできたかもしれない、と後悔するのはわたしが最も嫌う自己憐憫に似てはいないか。



あなたはとても聡明なひとだったから、わたしに不可能な役回りは期待していなかったのでしょうか。
それもあなたの優しさでしょうか。
わたしはそれに甘えっぱなしだったね。