豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2008年2月号プリンセス連載分雑感

新年も少女まんが界No.1のスケールで描き続ける
月刊 プリンセス 2008年 02月号 [雑誌]
【今月のネタバレあらすじ】
ヒッタイトの奥宮殿は重苦しい雰囲気に包まれていた。イズミル王子の乳母ムーラは、王子の肩の古傷が悪化したのではないか、帰国以来自室にひきこもり学問に打ち込むとみえて実は王子は母王妃や乳母の自分にすら心を閉ざしてしまっているのではないかと心配を募らせる。ムーラの訴えを受けたハザス将軍は、ジダンタシュの企みとその顛末を聞かせるのだった。その頃、王子の父ヒッタイト王は内密に王子の花嫁としてトラキアの王女を迎える計画を着々と進めていた。銅を産するトラキア国と縁組し、未来エーゲ海域を手中にせんと狙うヒッタイト王はこの縁組に強く乗り気で、王女を出迎えるための使者を港に派遣する。風騒ぐ紺碧の海をゆくトラキア国の船は、お相手の王子の噂に心躍らせる美々しい王女を乗せて一路ヒッタイトへ進んでいた。
一方、下エジプトの王宮では、ミノス王を歓待すべく鴨狩りを兼ねた舟遊びが始まろうとしていた。ナイルの姫君とひとつ舟に乗ったミノスは初めての鴨狩りもさることながら、憧れの女性のすぐ傍にいられることに胸高鳴らせている。まもなくメンフィス王の指揮下鴨狩りが開始され、その様を間近いで見たミノスは興奮し、自分も鴨を捕えてみたいと棒を手にする。しかし勇みすぎてバランスを崩し舟は横転。キャロルとミノス(と船頭ウナス)は河に投げ出されてしまう。二人に怪我はなかったものの、この騒ぎで鴨狩りは中断され、ミノス王のため大事をとって宴は中止となる。
エジプト王宮から感謝の品をもらったプシタは運が向いてきたとホクホク顔だが、ご立派な弟君に一抹のひっかかりを感じていた…。

⇒続きは3月号。



【今月のお言葉】
ご安心なされ
姫君も武官も無事ですぞ
*1



【今月雑感】
DSプレゼントはずれた……orz
気を取り直して寒い部屋で震えながら今月号を読む。こんなに寒いのはきっと暖房代をケチったせいに間違いない。
ヒッタイト王が銅の産出国トラキアを狙ってみたり、シバ国の女王がエジプトへの乳香供給を止めたり、うぅむ?この先地中海世界を巻き込む資源ウォーズでも勃発すんのか?(ないない)。
ヒゲだの濃いだのキモいだの言われても、ちゃんと王様っぽい仕事しているのは、いまじゃこのヒッタイト王くらいじゃないんだろうか。
注目のトラキアの王女は音声のみで登場。見目麗しき叡智あふれるお方と噂に高い王子にお会いするのが楽しみだわ〜とか姫らしきひとが仰ってるのだが、その噂の主が住まう奥宮殿に漂うどよよん度ときたら、いよいよ笑い事ではない。かつて恋ボケ息子を一喝したヒッタイト王妃は、息子の行く末を案じて5日も神殿に籠もったままだという。そりゃ、自分たち夫婦が首都を空けた隙に、後を任せたはずの一人息子が仕事放っぽり出して我が妃とやらを出迎えに出奔し、挙句に満身創痍で帰ってきて、運よく起きられるようになるまで恢復したと思えばろくに口をききやがらん。そのうえ毎日青い顔で本ばかり読んで部屋にひきこもってるとなりゃ、いかな気丈な女人も神さまにでもすがりたくもなるだろうて。
ワタシ的には王子を心配するあまり医師ネシャ(初登場キャラ?)に綿々と不安を訴えているムーラに対して、ハザスが王子負傷の顛末を解説し始めるシーンが一番の見どころかな。


(↓なるべくムーサの山での哀れっぽい声風脳内再生)
「じつはのうムーラどの! ユーフラテスの地でジダンタシュが傷ついた王子をなぶり殺しにしようとしたときじゃ。身を隠されていたナイルの姫君は武器ももたぬ王子の様子に我が身の危険も忘れて飛び出し砂を投げて王子をかばわれたそうじゃ」
乳母「え ナイルの姫が王子をかばったと!」
「じゃが そのために姫君は……ジダンタシュに捕えられ拉致されてむごい目にあわれたと〜〜〜〜王子の傷の止血をなされたのも姫君 王子は…愛する姫君を守ることができなかったご自分を責め……身に受けた深い傷よりも心の痛みに…苦しまれておりまするのじゃムーラどの」
乳母「まあ……姫君が…ナイルの姫君がわが王子を!助けられたのですね 身の危険もかえりみず 暗殺者に囲まれた王子を…おお ナイルの姫君がわが王子を……」



おいおい、鼻斜線入れて感激しちゃってるよ、ムーラどのが…
姫→姫君と敬称つけちゃってるよ、ムーラどのが!
キャロルがジダンタシュに目潰しくらわせた場にハザズはいなかったのだから、そうするとキャロルが『我が身の危険も忘れて』とか『王子を庇った』とか話して聞かせたのはイズミル王子ってことになるんでしょか。やけにドラマチックな語り口なのは王子直伝だからか?それとも、ハザズ老のロマンチストの血が騒ぐままに、王子の証言の端々を脳内で繋いで、いつのまにかあのような美談として決定されちゃったのかもしれないな。そしてそれをまるっと信じ込んじゃうのよ、ムーラどの〜それでいいのか〜〜
ルカを筆頭に、王子の臣下は揃いも揃って主君ドリームシンクロ度では人後に落ちない。なんといふ素晴らしいチームプレイであろうか。ハザスが『ナイルの姫君はジダンタシュに捕らわれ拉致されてむごい目にあわれたと〜〜〜』とか嘆いているところを見ると、ルカ便はまだ到着してないらしい。『ナイルの姫君はただいま王宮で元気に御菓子作ってます』、とか書いてあるのを読んでないのね。
王子が自分のせいでナイルの姫を危険に晒したと悲壮に嘆くのはいつものことだが、ナナメ読者の私としては、当のナイルの姫が鴨狩りで年下の純情美少年と楽しくやってるのを見せられると、王子が自分を責め続ける孤高の姿も、単なるおバカな自己陶酔にみえる。
なぜって、ムーラ曰く「毎日学問に明け暮れる王子のあのご様子」って……、巻物積み上げて勉強なんぞしてる場合ですか王子。
愛しい女と生木を裂くように別れさせられて帰ってきたなら、寝床で呻きながらキャロルの安否を必死に確かめさせようと指令を飛ばす王子とか、ジダンタシュ母子の追跡に血相を変える王子が見たいんだよ私は!
自分の頭の中だけで事態を完結させて、私のせいでお前が不幸になった〜とか言い募る男のなんというおめでたさ。まして高貴な御身が、なんで!そんなに惨めな思いをするのがお好きなのか、私は全然わからない。
イズミル王子が包帯血塗れのまま巻物を読んだり、お空を眺めてイシュタルに呼びかけるのは一種の「王子様的お約束の図」となんだろうが、王子の外見が依然として端麗さを保っているだけに、ただただ無残な印象が強い。ナルシストの繰言で父王の正論に太刀打ちできますかね。それがワタシ的見所。近々トラキアの王女がやって来て、気に入るにせよ無視するにせよ、現実に向き合うことになる王子の目が覚めることを私は(大真面目に)願っているけど、なんか「愛の泉」の聞く耳もたぬジュリオ再臨になるような気がして仕方がないナ。


エジプト……は、もういい。
さっきまでBSでナイルクルーズ番組みていたせいでもないけど、悲しくなってしまった。今回の鴨狩りシーン、水中での抱擁シーン、どれも以前の名シーンの焼き直しでしかない。しかも悲しいほどに劣化した焼き直しだ。
鴨狩りといえば、カーフラ王女がキャロルを怪我させようと棒を投げつけたシーンを私は嫌でも思い浮かべる。あそこでは、憎々しい女の情念が輝いてた。そして、転覆した舟から王はすぐさま妃を救い上げ、泳げないだの背が立たないだのという新婚二人のやりとりのなんともくすぐったく甘やかな雰囲気もよかった。(ミヌーエ将軍が仕留めました、っていうウナスのセリフにちょこっとモエ〜)
とうに思春期をすぎてしまった私は、ミノス王のキャロルに対する恋情をわりと微笑ましく思って眺めているが(未遂事件はさておき)、それでもああいう顔赤らめとか乙女じみた独り言ばかり繰り返されると、ただのキモチワルイ人に見えてきますよ?
それはわたしの「純粋なひと」計測ベクトルが狂ってるせいでもあるまいが。
ああ、そうじゃないな。
わたしが、「純粋」というのにあまり価値を置かないからだ。
わたしは不純の愉しみをこそ愛でたい。


イラスト集情報、特になし。
表紙カラーはメンフィス王の単独一枚絵。これも力作。いつも襟飾りのデザインに感心するんだが、今回のウジャトを嵌めこんだ襟飾りはとってもすてき。

*1:転覆した舟に乗っていた「武官」を気に掛けてくれた唯一の漢、ユクタス将軍