豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

ROME 観了

「オクタビアヌスのクソガキ」VS「アントニウスのおっさん」対決はいよいよ大詰めを迎える。
この二人、片や、愛人の息子、片や母親の愛人(義理の兄でもある)の組み合わせは、地中海世界の覇権をかけて最後の対決に向かうのであった。てんてんてん。

わっはっは。やったわね!
「アクティウムの海戦なんかスルーしたってクレオパトラが云々〜」等は書きはしたが、ホントに海戦すっ飛ばしたわね!
最終話(22話)の冒頭は、背景に炎上沈没する軍船の一群(間違いなくCG)を入れこみつつ、ボートで逃げ出すアントニウスの図。「俺は負けを恐れてきたが、いざ負けてみると、意外とどうってことないよなぁ〜水が美味いぞ」とか、もう開き直っている40男アントン。その後、オクタビアヌス軍に包囲された彼は、クレオパトラと宮殿に籠もって退廃な享楽生活に耽り、女王が先に自害したと聞かされて男泣き。ヴォレヌスに手伝わせ、ローマの剣で我が身を刺し貫いて、女王の後を追ったのでありました。残された女王は一発逆転を試みるが、さすがに彼女は男を見る目がある(?)。怪物オクタビアヌスは篭絡できないと観念し、蛇に胸を噛ませて死を選ぶ。
かくてローマはオクタビアヌスのものとなり、プッロとヴォレヌスの固い友情は永遠のものとなり、ひとつの時代が終わるのであった。てんてんてん。


いやはや、たいへん面白かった。
歴史モノはかけたおカネの差が歴然と出るんだなぁ。単に豪華なだけではなくて、ごみごみとした庶民の居住区はそれらしく作ってあったし、小物や衣装や、室内の造作に至るまで神経が行き届いていて、とても雰囲気があるのだ。見ていると、ああいう人たちがあそこでああいう生活していたんだろうな〜ヒューマニティとかいう概念のない時代、奴隷なんてほんとモノと一緒なのね(溜息)という気にさせられる。
全22話構成のこのドラマは、時間にすると20時間くらいだろうか。映画の場合はどんなに長くても3時間半か4時間以内には納めなくてはいけない。しかし、ドラマ枠ならではの時間の長さを生かして、陰謀あり、戦いあり、ラブロマンスあり、熱い友情話ありの濃いぃ展開にハラハラしながら見てしまった。なるほど、TVドラマが人気なわけだよ。 

オクタビアヌス(アウグストゥス帝)というと、「まれに見る美男子だった」という評伝のフレーズが真っ先に頭に思い浮かぶが、後半に登場する青年版のオクタビアヌス役者もかなり美男子。アントニウスが彼を罵って「カエル顔め!」と言うセリフがあって、思わず声を上げて笑ってしまった。オクタビアヌスはパッと見、白皙の美青年なんだけど、ちょっと人工的というか、相当な変人臭がするところが好きだわ(彼は「プライドと偏見」でチャーミングな悪党Mr.ウィッカムを演じていた俳優さん)。
一方、アントニウスに死を決意させた「クレオパトラが死んだ」という知らせは、侍女の嘘なんである。要するに彼の早とちりなんだが、初めて「アントニーとクレオパトラ」を読んだ当時も、私は彼のこのマヌケ加減が可愛いと思ったものだ。百戦錬磨のいい年したおじさんが、女に死なれたとこんなに絶望しきって泣くなんて。ジェームズ・ピュアフォイが突っ伏して慟哭するシーンは、私もじぃぃんとしてしもーた。あなたってそんなに彼女を愛していたのねぇ……と、暫し乙女モードに浸ってみる。

でも何と言っても、ラストシーンで未来の皇后すらひと睨みで黙らせたアティア奥様(オクタビアヌスの母上でアントニウスの愛人だった女性)の存在感に勝るものはないだろう(母の後ろで、密かにしてやったりとでもいいたげな娘のオクタヴィアの表情も良かったわ)。このドラマの女優たちは皆素晴らしく脱ぎっぷりが良かったが、単なる裸要員ではない。特に、年齢を重ねた女のしたたかさ、可愛さ、脆さを存分に見せてくれたアティアの存在が、このドラマをすごく面白くしたと思う。アティアと宿敵セルウィリアの間に繰り広げられた血も凍る暗闘の、なんと面白かったこと。

血と暴力と裸てんこ盛り「ROME」に万歳。
ま、エロいかエロくないかといわれれば間違いなくエロいドラマであるが、どことなくスポーツのような健全エロシーンばかりなので、ムッツリ好きなワタクシとしてはすこし苦笑気味ではあったけど。

ROME[ローマ]コレクターズBOX
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