豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2009年6月号月刊プリンセス連載分雑感


月刊 プリンセス 2009年 06月号 [雑誌]【今月のネタバレあらすじ】
エジプト王メンフィスを乗せた船は、王妃や臣下たちに見送られ紅海沿岸のクセイル砦よりシバ王国を目指し出帆した。
王の船が水平線に消えたとたん、王弟ネバメンの態度が豹変する。兄から留守を預かったとして、義姉たる王妃を守ると臣下の前で宣言したネバメンは、キャロルの手をひき保護者のように振る舞う。心優しく頼もしい王弟の姿に臣下たちは感激を隠せず、熱狂的歓呼の声が上がるが、キャロルは強引なネバメンの態度に不愉快さと困惑を隠せない。
王都テーべに帰還したキャロルは、メンフィスの代理として謁見に臨むが、そこにまたネバメンが現れ、キャロルの手をとり補佐を宣言するに至り、不快のあまりその場を飛び出してしまう。メンフィスは旅立ったばかりだというのに、早くもキャロルの胸には不安が押し寄せてきていた。
一方、メンフィス王一行を乗せた船は順調な航海を続け、プントの沖合いに達していた。
交易で栄え、美しい女王の統治するというシバ王国に興味津々たるメンフィスだが、乳香の流通を止めた女王からの招待の真の意図を突き止めるべく、改めて警戒を心に期する。
その頃、エジプト王より一足先に帰国したシバ王国の使者カリビルが、女王に帰国報告を行っていた。エジプト王が我が招待に乗ったことに女王は満足気。
さて、インダスの太子を愚弄した魔性の姫に惑わされているおろかな王とは、いかなる若者であろう・・・・


以下、7月号に続く。


【今月のお言葉】
もーーっ
いやだわ 我慢できない
なんなのネバメンのあの態度
気持ちわるいっ


*1

【定点観測録】
1. イラスト集続報⇒軽くスル〜

2. 新刊情報⇒54巻が6月16日発売。

3. 「海のエジプト展」ペアチケット情報⇒描きおろしイラストに加え、チケットには「2000年前のレシピ通りに再現されたクレオパトラの愛した香りシート」なんてものが同封されているとのこと。

4. 雑感

主人公カップルが二手に分かれる今回、さすがに状況説明で地図が登場している。
グーグルマップで検索すると、シバの女王の国の遺跡といわれる「月の神殿」のあるオアシス都市[マアリブ]はイエメンでもけっこう内陸部に位置するようなのだが、ファラオは船から上がったらラクダに乗換えてシバの女王に会いに行くのかいな?

大きな地図で見る
さて、シルエットだけだった女王が今回ラストで初めて顔バレしたのだが、これがまた激しくデジャヴなお顔立ちだったのにポカーンである。
女王の浅黒い肌といい、生え際まで隠す幅広い額の冠といい(あの角は「月の神殿」遺跡の柱がモチーフなんだろうか?)眉毛ナシの顔立ちといい(やや面長だが)、入浴シーンでさりげなく乳アピールな風情といい、美男子に弱そうなところといい(追憶のシンドゥ太子の男前度がUPしているあたり思い込み激しいタイプに違いない)・・・・
こりゃカーフラだ。またしてもカーフラ的女にファラオ翻弄さるの巻き、再び?
冗談ではなく、メンフィスのお手並み拝見といこうではないか。
長年の香取引先の不興を買ってまで没落する国の世継ぎに肩入れする女王は、情の厚いひとなんだきっと。加えて母性本能(独身?)過剰なタイプとみた。我が愛しのシンドゥ太子を傷つけた女憎し⇒その女が誑かしている王も憎し、という直線的動機から女王の今回の暴挙(?)が敢行されたわけだが、そもそも女王の怒りに火をつけたのがシンドゥ太子で、キャロルから思わぬ予言を貰って動転した彼の一方的な吹き込みに基づき、今の事態となっている節がある。もしかして、こんな美形でこんなに国のことを思っている凛々しい青年が魔女に傷つけられてカワイソウ……よし、ひと肌脱ぐわよ、てのが動機ならば、負けず劣らぬ美形で同じく国のことを思う雄雄しい青年から堂々窮状を訴えられて御覧なさい。目をうるうるさせて神へ供儀に欠かせない乳香なんか船三杯満載してお返ししますわとか言い出さないとも限るまい。せいぜい誑かして参られい、ファラオ。

とはいえ、曲がりなりにもシバの女王は統治者として臣下を差配し、隣国王を一本釣りする程度の芸当はやってのけるわけである。そこは(国主として適否はさておき)ご立派といわねばならないだろう。
翻って、我らがナイルの魔性の姫君もといエジプト女王陛下は何をしておるか、というと花摘み菓子つくり動物愛護並びに情実人事に勤しみ奥宮殿で取り巻き連中とウフフキャッキャと幸せにやっていらしたわけだが、今回夫君の留守を預かる身となり、とうとう表へひとりでご登場ということは避けられなくなった。しかし、隣にキモい男が立って手をさわるわデカイ面するのが不愉快だわと、その場を飛び出してしまわれるに至り、拙者つくづくため息でござるよ。なんつーのか、この大仰な空想歴史ラブロマンスにおいて、キャロルが「永遠の少女」路線なのはもう変えようがないし、それでいいと私は思っている。箸ももてないひとにダンベル上げろというのはどだい無理だし、似合わないし、持って欲しくないし、女子たるもの覇気と向上心を持てと上から目線で叱咤激励するマンガなんぞムカつくし。キャロルにはキャロルの戦い方があっていいと思う。弱いものには弱いものの目線と意地がある、という話なら私は読みたい。
キャロルは善意と愛と信頼で世界が変えられると信じているらしいが、自分が座る玉座がどんな幻想に支えられているか、いつか見つめ直すことがあればいい。
王弟ぶりっこネバメンに男らしいだの、ご立派だのと歓呼の声を上げる臣下民草を見ていて、不安に駆られるキャロルの直感はなかなか重要なポイントをついていると思うのだ。
要するに、キャロルの「ナイルの女神の娘」として賛仰される立場というのは、どこまでもメンフィス王に庇護されていればこその支持である。王妃になって何年たとうが以前彼女は「庇護される者」以上の役回りは期待されていない。「ナイルの女神の娘」は我らの守り神であれ、アイドルであれ(そして出来れば次代王の母たれ)とは望んでも、「王」たれとは決して望まないのではないか。あの国の大部分の者が心の底では、我らが庇護者、国の頂点に立つ者は「男」でなければならない、と心の底では思っている。キャロルが見た目頼りないのは確かだが、大して国政への貢献も実績もないネバメンに寄せられる「好意」、あの恐ろしい「空気」を眺めていると、彼らは女王単独の統治というものを受け入れないだろうと思わせる匂いがする。やはり古い歴史のあるエジプトと遊牧民の国では違うのかと思った次第。
「海のエジプト展」ではクレオパトラがクローズアップされるのだろうが、私がずっと興味を持っているエジプトの女王はハトシェプストだ。3代にわたる純血嫡流の王女として生まれたハトシェプスト、「王妃」であった彼女ですら、「王」として統治しようとすれば男装せざるを得なかったというのがエジプトという国の本質を語るようで面白い。最近雑誌でも記事が掲載されていたが、ミイラ発見以上の新ニュースは見つからなかった。ミイラ正面写真ドアップが恐ッ
それ以上に、細川マンガの悪役に絶対条件「厚かましい」「ナルシスト」「他人の話を聞かない」臭気撒き散らすネバの扱い。これでもかこれでもかと描かれるとかなり恐いものがある。

*1:ベタベタ馴れ馴れしい義弟に怒髪天のキャロルさん