豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 Cold,Cold heart

昨日、目を疑うようなものを見てしまった。
あまり気持ちのいい話ではないが、正直、呆然としたので誰かに聞いてほしい。



道端に鳥かごが落ちていた。
何の変哲もない鳥かごで、そう、普通にペットショップでインコとか文鳥なんかの小鳥を入れてあるやつ。四角い金属製の檻があって底が緑のプラスチックで出来た、誰でも思い浮かべるような鳥かごが、ぽつんと道端に放置してあった。
私は最初、誰かが掃除をしている途中なのかなと思い、さして気にせず傍をすたすたと通りすぎたが、すれ違いざま、一瞬、視界の端に気になるものが見えた気がして、一旦引き返した。
視界に入ったのは、あれは、真っ白い翼だった。
まてよ、と私は思ったのである。
鳥かごに一枚や二枚、羽が落ちているならまだしも、なんで翼があるんだ?

そして、かがみ込んで、気になっていたものの正体をまぢまぢと見たんである。

真っ白な小鳥の屍骸を。

真っ白な翼に埋もれるようにして、小鳥は鳥かごの隅に仰向けに落ちていた。
縮こまり、固まった脚と、半開きの濁った目を見れば、息絶えているのは一目瞭然。
文鳥というにはやや大きかったので、あれは真っ白いインコだったのかもしれない。
そして鳥かごの中には、その小鳥のものと思しき糞が散乱したまま。

いっそう困惑することに、鳥かごが置かれていたのは住宅街のごみ捨て場だったのである。
常設ではなく、ごみの収集時間にだけごみが置かれ、いつもはきちんと管理され、掃除されている場所。
もしかして、この小鳥の屍骸はゴミに出されたのか?掃除もされない、鳥かごごと?
私はわけがわからなかった。
しかし、先を急いでいたこともあり、それに飼い主が一瞬傍を離れただけかもしれないと、善意に解釈をしてその場を立ち去った。たぶん、あの小鳥はきちんと埋葬される途中に違いない。飼っていた小鳥が死んだからって、檻ごと道端のゴミ捨て場に放置するなんてありえない。きっと何かの手違いだ。
そう思った。

ところが、よく朝、気になって通勤途中で遠回りしてみたら、まだそこにあの鳥かごはあったのだ。
道路の反対側からでも、小鳥の屍骸がまだ中にあるのが確認できた。

ありえない。
いったいどんな飼い主が、死んだペットにそんなマネが出来るのか。
まるで生ゴミでも出すように、いや、片付けさえしていないのだから、ゴミ以下の扱いじゃないか。
この寒空のせいでもないだろうが、朝から心底寒々とした気分に襲われた。

帰りにまだあの鳥かごがあったら、近くの公園にでも埋葬してやろうと思いながら帰宅途中に再度確かめたら、今度は鳥かごごと失せていた。
小奇麗な住宅街に漂う腐臭を嗅いだ気がした。
誰かが、あの子をきちんと埋葬してくれたことを切に願う。