豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

 2010年2月号月刊プリンセス連載分雑感

月刊 プリンセス 2010年 02月号 [雑誌]

【今月のねたばれあらすじ】
メンフィスの留守を預かることになったキャロルは、先日鰐の襲撃で被害が出た村へ代理として視察に出発。随行の兵士のなかには、姉を守護するという名目でネバメンも強引に同行したネバメンの姿もある。沿道で見送る民に挨拶をするキャロルのは例によって王妃らしからず、守備責任者のウナスはヒヤヒヤするが、メンフィスの代理という大役に臨むキャロルの心は、メンフィスが赴いたシバの女王の国へと飛ぶ。
同じ頃、シバの女王の策略から辛くも逃れたメンフィスは、シバ王国近くの海上に船を停泊し、王城を擁するシバの港に放った斥候からの報告を待っていた。しかし、帰還した斥候がもたらしたのは、霧の中から襲撃してきた海賊船がいま港に停泊中の船とは判断できかねるという報告のみ。先の襲撃をシバの女王の仕業と確信するメンフィスは激怒するが、王の訪問を危ぶむ呈するミヌーエ将軍からの進言で冷静さを取り戻す。国家神への祭祀の継承は最優先事項であり、祭祀には乳香がどうしても必要であると熟考の末、メンフィスは我が命を狙った女王の魂胆にはそ知らぬふりをし、真正面から乗り込んでやろうと決断する。王の果敢な決断を聞いた兵士たちの心もひとつにまとまり、船は一気に港を目指して進み始めた。
煌びやかなエジプト船の入港の知らせは、戦勝の宴を楽しんでいた女王に冷水を浴びせた。驚きのあまり裸足で駆け出し、自らの目で確かめるシバの女王。そこにはまさしくあのサメの海でみたエジプト王の船影が!
あのサメの海を生きて王は脱出したのかと青ざめる女王の眼前に、エジプト船が到着する。
船内では、身づくろいを終えたメンフィスが、エジプト王の到着の先触れに使者を王宮に遣わそうとしていた。

さて、次回女王と王の対決やいかに。

続きは来月号にて。

【今月のお言葉】
あの海に落ち、生きて戻ったものなど古今おりませぬぞ
*1

【定点観測記】
新春お年玉企画として計30名にサイン入りオリジナルプレートをプレゼントあり。

先ほど、ぽちっとテレビを点けたら「世界不思議発見」を放送していて、ツタンカーメンの秘宝がどーたらというネタをやっていたので、ほほぅとお汁粉すする手元を止めて見る。もっとも古代エジプトというよりは、今回の訪問地であるシリカ砂漠はサハラ砂漠の奥も奥、スーダンリビアの国境地帯に広がる大砂漠で、ツタンカーメンの遺宝にも使われていた黄色がかった透明の宝石、通称「シリカガラス」が散らばる場所だという。
あんな灼熱砂漠の奥でしか採取できないような宝石まで手に入れていたなんて、エジプトのファラオの権力たるや凄いものなのだなぁ…と餅に喰らいつきながら感心してみたりする私。
さてそこで、乳香買い付けツアー中の今月メンフィス王はどのくらい凄いのか。
いまさらの疑問だが、いくら乳香が祭儀に必要だからってなぜにファラオがいきなり出向く必要があるのだろう。普通こういう場合、まず臣下の誰かを名代に派遣して探りを入れることから始めるんじゃないだろうか。押したり引いたり脅したりすかしたりしながら、両国の駆け引きが続いて―って、新年から無粋なことは言っていては摩訶不思議王家ワールドは楽しめない。
メンフィスがシバの女王のもとに堂々と出向こうと宣言するシーンを読んでいて、以前作者がメンフィスを評して「私の夢です」といったことを思い出した。
現実的かどうかはさておき、ああいう風に即断即決できて勇敢で、皆についていこうと思わせるカリスマ性をもつまっすぐな気性の若い美男子の指導者がいたら、世の中もうちょっと明るくなろうというものだ。まぁ、実際にそんなのいないからこその夢なんだろうが。
これが女性(の指導者)になると、可愛らしさ、愛らしさが最上の美質という作者のメッセージは揺るがないらしい。メンフィスの代理ではりきるキャロルだが、彼女は王妃らしからぬ気さくなところが皆に愛されているのだという描写が、例によって延々と続く。キツネと戯れたり、子どもたちに挨拶しようとして輿から身を乗り出してウナスに怒られたり。要するに、女は永遠に子どもでいたほうが幸せなのだ、女は皆に愛されてナンボなのだ、という強烈なメッセージを感じるのだが、それは私がナナメ読者で常々可愛げないと嘆かれ続けているゆえの被害妄想なのだろうか。夢が広がって胸がワクワクするらしいキャロルさんを見るにつけ、仕事で遠くに離れた配偶者に思いを馳せるとき、頭を過ぎるのは彼の安否じゃなくて、ロマンチックな伝説のほうなのねと考えてしまうあたり我ながらもう読むの止めたほうが精神衛生上良くないのか?と疑念沸きまくり。
でもって、嫁からお土産を期待されるばかりのメンフィスは段々シリアスな方向へ事態が進む気配。
今回、あれほど直情家のメンフィスが、自分を陥れようとしたシバの女王への怒りを「腹に飲んで」、女王の招待に真正面から応じると言い出すあたり、次回の女王との会見は楽しみだ。私だってりゅうとした正装のメンフィスが、堂々たる王様ぶりっこでカッコつけるのを見るのは嫌いではない。ええ、普段、鼻斜線だろうが嫁ボケ王だろうが尻に敷かれてようが、ミノア来訪編の二番煎じだろうが、カッコつけが様になってりゃあたしゃ許しますことよオホホホホ。ファラオは死んだものと思い込んでいたシバの女王は動揺激しく、このぶんでは第2ラウンドはメンフィスがやや優位と見た。これで、メンフィスが女王の動揺に乗じて、海賊ネタをさらりとつついて、見事乳香交渉をまとめられれば、昨今暴落のファラオ株もちっとは上がるだろうに。
どーでもいい話だが、女王の王城にはトロイやアビシニアからの交易使節が来ているようである。どちらもメンフィスには因縁のある国だが、誰か顔見知りの人でも出る伏線なのか?も一度エレニーとか出ないかな。

*1:シバ王国のカリビル大臣@ヒゲ