豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

伯爵令嬢(宝塚) ジュ・テームな舞台について

ガーンでございます、アラン坊ちゃん!
ワタシ、これを観た後、こ、これは感想すぐ書かねばと思っていたのに、もう1ヵ月経ってしまったではございませんか!上演とっくに終わってますじゃ!今頃アラン坊ちゃんはルパン3世におなりですか?
ついでに、無性にもう一度原作が読みたくなって、10数年ぶりくらいに大人買いでコミックス「伯爵令嬢」全12巻揃えてしまいましたぞ!(Kindle版にしようか悩みましたが、やっぱりカラー表紙が欲しくて紙版にしましたわい)

伯爵令嬢 1 (ひとみコミックス)

伯爵令嬢 1 (ひとみコミックス)


「伯爵令嬢」の連載開始は1979年(昭和54年)の「ひとみ」1月号からだそうです。
1976年(昭和51年)プリンセス10月号で連載がスタートした「王家の紋章」とは、連載を並行して描かれていたのでしょうか。(交互に連載していたのかどうかについては、私がリアルタイムで読んでいないためそのへん把握しておりません。情報求む)
初期王家の神憑かった盛り上がりっぷりと、伯爵令嬢のこの怒涛の面白さのダブルパンチで、もし当時連載を追いかけていたら私はどうなっていたことやら~
ま、いずれにせよ完結している「伯爵令嬢」は安心して読めまする。


先日、日生劇場にて宝塚歌劇団雪組による「伯爵令嬢」の舞台を見てきました。
ストーリー上の端折り、多少の肉付け等細かな差異はありましたが、概ねラストまで綺麗に収まっていました。、しかもラストに(原作にはない)アランとコリンヌの結婚式が描かれていたので、ああ、王道だわと感涙にむせびつつ~ハテなんで原作にこれがないんだろう、と今更ながら思ってしまった。とてもよかったです。
 宝塚の舞台は何度か鑑賞したことはありますが、私は特にヅカファンではないので、新生雪組のキャストの情報等ほとんど予備知識なく臨みました。すべては単純に「あの『伯爵令嬢』の世界が舞台で見たい!」との一心。ついでに、細川先生も幼き日、宝塚に憧れていたそうです(制作発表会見のコメントより)。ベルエポックな舞台で繰り広げられるフレンチカンカンの群舞・トップコンビの優雅なデュエットなど、華やかな歌劇の世界に浸り、観終わって、私は実にシアワセな気分で劇場を後にしたのでありました。
 以下、つらつら雑感羅列などをば。


- キャストのビジュアルが要所で原作を彷彿とさせるデザイン。胸ズキュンであります!
 特に、コリンヌの孤児院時代のストライプワンピ、パリジェンヌ風ピンクのサテンドレス(リポンの帽子)、ラストの飛行船取材時の白地のドレス。アランのシルクハット(壁ドンつき)。金髪巻き毛のリシャール君のベレー帽が死ぬほど似合う。そしてアランじいや(執事)のソフトクリーム風髪型も秘書シモンのツンツンヘアーがマンガのそれ。アンナの成金テイスト満開ジャラジャラドレス、女神なマドレーヌ夫人のエレガント喪服&長い黒のベールもよくぞ着せてくれましたてなもんです(泣)

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- ムッシュウ・フランソワの再現度に卒倒しそうであります!
 例の不思議なオールバック・ワンレンヘアは赤毛!アランの車を谷底に突き落とした時のサディスティックな軍服風ドライビングスーツ(9巻151ページをご覧ください)が似合うお方がこの世にいようとは。なんたるカッコよさ。なんて長いオミアシ。。。しかし残念ながらフランソワを演じた夢乃 聖夏さんは2015年3月22日(雪組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団されるそうです。

-猫のニーニも出演なのであります!
 まさかのぬいぐるみ。時々フニーとかいう細川チックな音声発すぬいぐるみ(笑死)その代り、出番を省かれた子供が数名いたような(ジョゼとか?)

-水中シーンの幻想的な美しさよ。コリンヌには何回でも溺れて欲しくなるのであります!
 これぞ舞台ならではの演出でしょう。舞台一杯に跳ね回る青い衣装の踊り子たち(水の精)が、大きな青い布を翻し、そこはまるでノルマンディ沖の海か、セーヌ川。えーと、たぶん3回水中落下シーンがあったと思うのですが、ホントにもう一度溺れて欲しかったな~ もももももしも王家を舞台化するなら、ナイル川落下シーンもこれだよね!とか脳内再現。そうさ、あたいは呪われた王家ファンさ。ちっきしょー助けてメンフ(ブチ)

-コリンヌのドスの効かせ方がイイね!なのであります!
 私が原作のコリンヌのどこが好きって、身の回りのことは自分でできて、例え伯爵令嬢でなかろうと自分で食べていけそうなたくましさなのです。いい例がアランの家を飛び出しても、織物工場で働き口をみつけてくるあたり(舞台ではこの女工哀史エピソードはまるっと削られてましたが)。
 そして、ちらほら覗かせる彼女の生来の気の強さも好ましい。あくまでも、「嫌味なく可愛らしい気の強さ」であるという点が、凡百の身にはなかなかハードル高いのですが。今回のコリンヌ役の咲妃 みゆさん、アランに言い返す時の気の強そうな感じとか、ホントに強そうで好きだわ。

-アランとフランソワが見せる父への複雑な思いに涙であります!
 冒頭、アラン率いるル・ジャーナル新聞の追求記事によって追い詰められたフランソワの父が自殺するシーンが追加されています。アランの華やかなパリ社交界での登場シーンと、記事によって追い詰められた有力者の悲劇をうまく絡めてあり、原作ではフランソワのセリフでしか語られない彼の復讐心の背景が強く印象に残りました。
 そして、一方のアランの父オルレアン公爵は、原作では気位が高く気難しい老貴族であり、理想家の息子とは常に対立する人物として登場するものの、公爵の内面はほとんど描かれません。後に息子アランを窮地に追い込むことになったスキャンダル、公爵がロシア皇帝アレクサンデル2世暗殺事件の首謀者であったという疑惑にも自身では全く釈明せず、それが一層アランを苦しめることになります。今回の舞台版では、公爵の独白として、かつてロシアの若き革命家たちに夢を託したものの、結果的に革命は破れ、以後心を閉ざしてしまっているという心情が語られます。このシーンにより、沈黙を続けざるを得なかった公爵の絶望の深さ、屈折がより浮かび上がっているように思えました。
 それらを踏まえて、アランとフランソワが炎上する飛行船で因縁の対決に臨むラストシーンで
 フラ「あんな父でもぼくの父親なんだ!」
 アラ「わかるさ!」
 と、血を吐くように叫ぶシーンがより私の心に迫ってきたのかなと。
 彼らはともに、愛し、憎み、血ゆえに拒絶しきれない父への思いに身を焦がす息子なのですね。コリンヌをめぐるライバルという点をさておいても、父と自分の立ち位置に苦しみながら、二人とも父を(負の面も含めて)受け入れ、最終的に自分の進む道を見出すところに希望があるのかな、と、そんなことを感じました。