豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

雑談5

やっと1巻も終わりに近づいたなトーマス……それでも、この先まだまだトホホ展開がざっと四冊ぶんはあるのかと思うと悪寒が走るぜ。でもまぁ、「王家」と違って「愛の泉」はラストがちゃんと見えているだけマシというものだが。
さて、やっと舞台はジュリオのホームグラウンドへ移り、東洋人のいち庶民であるヒロイン藤井朝子を取り巻く状況はますます棘々しいものになってきた。私はフィクションにおいては、登場人物たちの命がけの選択と葛藤を堪能できるという点から熱烈な階級制支持者をもって自認している。したがって、運命の恋に爆走する皇太子ジュリオに対しても、何の後ろ盾も特筆すべき特徴もなさそうな朝子を妃に迎えられるように、せいぜい頑張っていただきたいものである。思わず口走っちゃったが、この朝子という少女はなぜか魅力が感じられない。「あこがれ」のヒロインほどウザくはないのが救いだが、かといって「シンデレラの森」のヒロインほど一途に打ち込む目標を持ってないというか……。登場時は画家志望のお転婆さんの明るい子という設定だったのだが、家庭の不幸とか生活の苦労が重なるうちにどんどん受身で泣き虫の女の子になってしまったように思う。ゴールもいつのまにかジュリオとの結婚になっちゃったしさ。そのジュリオの恋さえも、この段階ではいまいち彼女自身が心の底で信じられていないので、どことなく憂愁の影があるかんじ。子どもっぽさは弟に、ぶっ飛び度はジュリオに持っていかれたのか、この朝子には読んでいていてもいまいち感情移入しにくい。普通っぽさが持ち味といえばそうなのだけれど、ジュリオ支持派が絶賛し敵対者のレナンドまでが魅かれる存在なら、もうちょっと朝子のキャラが立っていてもいい。というか、あのままでは「純愛」という免罪符のもと、周囲をすべて拒絶して爆走するジュリオのイタタ度が際立つだけのように思う。人間誰しも私の愛は正義なのだ!誰にも邪魔させない!と主張したいし、それを貫けたら、最高だろう。ただ、わたしはジュリオのような立場の人が想いを貫くには、嘘偽りの無い感情は勿論だが、知性と理性に裏打ちされた覚悟がないとそもそも許されない行動だと思うので、不満ばかり強い彼には点が辛くなるのだと思う。まぁ正直、「諦める」ということを知らない細川マンガのキャラたち(特に男連中、あとアイシス!)を、私は時々羨ましいなと思わないでもないけれど。私は無闇矢鱈に女という枠を超越させたヒロインはそもそも好きじゃないし(爽快ではあるが、だから結局何なの?と思ってしまうのだ)、かといって、女であることのデメリットをこれっぽっちも疑わないヒロインも好まないけれども、細川マンガっていつも「白馬の王子様が現れて世界は私を中心に回り始めてどーたら」という話なんだな。
数ヶ月前、ちょいと所用あって「王家」の文庫本を新古書店100円コーナーにて捕獲したのだが、新書でいうと1〜7巻あたりのエピソードになるのだろうか。いやはや、嘘偽りなく面白かった。なかでも十数年ぶりに読んで驚いたのが1巻。「あ、あねうえ〜」とか言って駆け寄ってくるこのヒヨコ王はどこの誰!?徹夜で砕けた粘度板を修復しようとしてできずに泣いているこの女の子は誰!?思いは同じかも知れぬ…とおっしゃるこの女性は!?彼は昔の彼ならず。つわものどもが夢のあと。最近、時代劇専門チャンネルで「武蔵坊弁慶」の再放送を見ているのだが、九郎判官って日本人が好きなツボが凝縮してると思うのよね。もしかしたらワタシの判官びいき癖はこのドラマの刷り込みですか!?御曹司と弁慶の主従愛にはワタシも子供ながら泣いたもん……って、それはまた別の話。