豆の山

クールなハゲと美女愛好家。家事育児パートに疲弊しつつ時の過ぎゆくままなる日々雑感をだらだら書いています。ナナメな王家ファン。

2009年7月号月刊プリンセス連載分雑感

月刊 プリンセス 2009年 07月号 [雑誌]
【今月のネタバレあらすじ】

帰国したカリビル大臣から、エジプト王国の繁栄の様を聞かされた女王は、かつてエジプト王妃に愚弄され、国を失ったインダス太子の不幸を思い激怒。新都建設の噂に報復の念を新たにする。女王は、さらにエジプト王の船が現在紅海を南下中との情報を得、海賊の襲撃に見せかけて王を叩き潰すべく、臣下を叱咤して海上へと乗り出してゆく。
その頃、アナトリアヒッタイト王国では、イズミル王子の花嫁として滞在中のトラキア王女タミュリスが、王子の傍に近づけないことに激しい苛立ちを募らせていた。見かねたタミュリスの侍女長が策を巡らし、王子の病室から看護人の乳母と侍医を遠ざける。その隙に、タミュリスはようやく愛しい男の傍へすべりこみ、眠れる相手に想いのたけをぶつけて寄り添う。そのとき、目を覚ましたイズミルはタミュリスの姿に大いに驚き、彼女の口から自分の婚約が父王の独断で進められていたことを知る。動揺したイズミルは、思わずタミュリスにこの婚約は自分の本意でないことを告げるのだが・・・・

さて、どうなる次号。

【今月のお言葉】
おやめください トラキアの姫よ
いいえ どうか捨ておかれよ
このような大事!いまはっきり申し上げねばならぬ!
このたびのことは我が父が独断でなされたこと
わたくしは何も聞いてはおらぬ

*1


【定点観測録】
1.イラスト集情報 ⇒海エジ展コラボに紛れてスルー
2.新刊情報    ⇒6/16 54巻発売

王家の紋章 54 (プリンセスコミックス)



2.「海のエジプト展」情報 ⇒イラスト入りペア前売りチケットは6/26迄発売中。会場グッズとして、クリアファイル・ミニポスター・カオルアート(香りつきイラストカード)・一筆せんが発売予定。

3.来月ふろく  ⇒ケータイクリーナーがイズミル王子とキャロルの描下ろしバージョンで登場。

4.雑感
タイトルは『薔薇と三日月の王子』でどうよ。
表紙カラーページをぺラッと開いて、咄嗟に私の頭を浮かんだタイトル。
深窓のご令嬢かと見まごうばかりのたいそう麗しいイズミル王子顔アップイラストなのだが、青ざめた顔色、血の気の失せた唇、不安に慄く見開かれた目――覇気というものがまるでない。体調そんなに悪いの?アンタほんと大丈夫なん?とか王子にそっとロシアキノコ茶とか差し出したい気分になったり。
そりゃあ今回はさぞ恐かったんだろうねぇ、と同情できなくもないわけだが。
今月、二大ヒーローが揃って女に襲撃されるという展開を迎え(メンフィスは次回襲撃される予定)、ナナメ読者としても色々感慨深いことであるよ。

片やエジプト王襲撃に意気軒昂たるシバの女王の動機は、全くの私怨であることが判明した。ナイルの姫に愚弄されて不幸になったインダス太子の仇を討つため、わたくしはエジプトへの香の流通を止めたとキッパリ宣言。魔女に惑わされているおろかな王の目を覚まさせてやるわ!と自ら兵を指揮し、紅海の海上でファラオの船を叩き潰してやりましょうとか鼻息荒い。高笑いの女王様は、王を失うことによるエジプトへの野心をちらりと仄めかし、群がる男臣衆を引きずり回して先頭に立つ堂々たる美女であるが、そんなにご自分の大儀名分に自信がおありなら、海賊を装ったりせずに堂々正面から生け捕りにしてからねちねち料理してらればいいのに(例:アルゴン流)、自分は高みの見物で敵のあわてふためく無様な様子を見て笑いものにしてやりたいという衝動が抑えきれないのが王家の高貴な女王方であるから困ったものである。それにシバ王国の都って、けっこう海にも開けているようだ。海軍も持っているらしい。

行く手に待ち受けるものを未だ知らぬメンフィスは、軍船上で珍しくミヌーエ将軍とシリアス会話中。エジプトで嫁にデレデレしていたあのナサケナイ王はいずこ?というわけで、キャロルとは当分離れてたらよろしいがな。

さて、そのメンフィスにも「トラキアの姫を花嫁に迎えた」と断言されちゃっているイズミル王子受難編が本格化してきた。地中海世界セレブゴシップではとっくに彼は既婚者なんであるが、見事なくらい本人蚊帳の外。
しかし、その思いやり猶予期間もついに破られる時が(やっと)来た。夢うつつで「我が妃」の甘い笑顔を堪能していたであろう王子が、ふっと目覚めれば似ても似つかぬ見知らぬ女がわが身をまさぐっているのに気づいて動転する今回。
あなたには超ホラーなシーンなのだろうが、ワタシは爆笑してしまった。王子よ、許せ。
あなたでもパニくると自称「わたくし」になるのね(笑)ショックはお察しするが、反応がなんだか女っぽいのよ。キャロルもよく王子の腕の中で目覚めて、イヤーヤメテーーーとパニックになっていたが、ああいうかんじ。ただし今回叫んでいるのは王子なのだが。
イヤーヤメテーーで済むのなら、政略結婚で泣く女(男でもいいよ)はこの世にいなくなる。済まないから色々策を弄して難を逃れようとするでしょ。権謀術数はお手のものだったんじゃないの?あなたが「嫌だ」と正面切って拒絶した時点で、トラキアとの同盟にもヒビが入る恐れが出てきたわけだが、令名高いあなたはそこまでお考えあって拒否したんでしょうな?


んなわきゃない。
何がトホホかって、王子がそこまで絶対考えていない、鳥肌立ったから嫌だと言ったんでしょとバレバレなのが丸判りなところ。キャロルがキャーとかイヤーーとか叫ぶのはいい。非力な(?)女だから。でも、貴方はそれを言っちゃ駄目なんだ。腐っても王子なんだから。王子と生まれたのだから。このまま隣国王の妃を脳内嫁として、甘い運命だけが欲しいというのなら、あなたは王冠を戴く資格はない。
少なくとも表面上は「あなたの優しいお心使いはとても嬉しいが、今は非常に疲れているのでそっとしておいてくれ」というような甘言を薔薇色の微笑みに包んでタミュリスに告げるべきだったのに。惚れた男にあそこまで嫌われていると見せ付け、女の、それも一国の王女のプライドを真正面から傷つけた代償は高くつくよ。持参金の銅の倍返しくらいでは済まない。砂糖水に漬かったような王子の環境を省みると、ナナメ読者の私にとってはそれはそれで楽しみな展開ではある。
ああ、それよりも拒絶されたタミュリスの恨みの矛先がどこに向くかは明白なのが憂鬱。
タミュリスが曲がりなりにも麗しかった(一部キモいが)時代は今月で終わりを告げ、次からは嫉妬の相でしか彼女を見られなくなる。すでにタミュリス側を、邪悪と見せたいらしい伏線は念入りに撒かれ、恋しい男の傍に近づくためとはいえ、王妃遭難を仕掛け、邪魔な侍女を平然と葬る様が描かれていることからすると、この先彼女は相当酷い目にあう。それでも、王家の悪役の皆さんは力技だけで突っ走って自爆するしかないのが悲しいね。

*1:イズミル王子@パニくるあまり言葉がヘン…